… … …(記事全文4,569文字)「逮捕されずに売り上げアップ 薬事通販マーケティング 薬事ブルーオーシャンの作り方」
「薬事通販マーケティングに関する総合コンサルサービスです。薬事回避のための販促方法、薬事違反にならずに、売上アップさせるご提案します」
これらは、薬事通販医療コンサルタントの持田騎一郎氏が代表取締役社長を務める「株式会社RCTジャパン」のホームページに出てくるセールストークだ。上は2023年3月8日に、持田氏がYouTubeチャンネル「薬事通販大学-持田騎一郎」にあげた動画のサムネに出てきたタイトル。下はそれらの動画を貼り付けた同社のホームページに書かれていた文章から抜粋したものだ。
2025年1月23日、「日本先進医療臨床研究会」(以下、研究会)が「当会の活動が薬機法違反やバイブル商法に該当するという指摘がありますが、これは当てはまりません」と、同研究会のサプリメントの販売方法が不当なものではないとする「声明文」を出した。その文末に、同研究会代表理事の小林平大央氏(健康食品関連会社・株式会社健康長寿医療維新代表取締役)とともに名を連ねていたのが、この持田氏だ。「逮捕されずに」「薬事違反にならずに」という文言を見ればわかる通り、持田氏が同研究会の中で、「薬機法(旧薬事法)逃れ」を指南する役割を果たしてきたことが見てとれる。
わたしは、「mRNAワクチン中止を求める国民連合」(以下、国民連合)と「免疫低下実態調査プロジェクト」を共同で行う研究会が、「バイブル商法」を行っているとXやウェブマガジンで指摘してきた。そして、国民連合が調査プロジェクトを「ビジネス目的」ではなく「純粋な調査研究だ」と主張するならば、「薬機法逃れ」のバイブル商法を利用してコロナワクチン後遺症患者等に高額なサプリメントを販売する組織とは「手を切るべきだ」と主張してきた。
バイブル商法とは、「医師も見放した難病が治った」といった劇的な体験談ばかりを集めた「バイブル本」を出版して、藁にも縋る思いでいる患者や家族を高額なサプリメント等の購入に誘導するビジネス手法のことだ。医薬品として未承認のサプリメントを病気に効果があるかのように広告すると「薬機法違反」となる。だが、かつてアガリクスやメシマコブといった抗がんサプリメントを販売していた業者の多くが、「書籍だから広告ではない」という理屈を盾にして、バイブル本や書籍広告を自分たちの製品の販売促進のために利用してきた。
研究会の代表理事・小林氏の会社が2022年11月30日に出版した高橋嗣明著『新型コロナ ワクチン後遺症の早期改善が叶う 薬物を用いない治療法』(健康出版)という本にも、「MDα(マルチデトックスアルファ)」なるサプリメントを飲んで、「ワクチン後遺症」「コロナ後遺症」「精神疾患」「起立性調節障害」「腎臓病」「自己免疫疾患」そして「がん」などが、劇的に治るかのような症例が多数書かれている。そして、本の巻末には「MDαの情報、ガン・難病の治療に関するお問い合わせは」として、日本先進医療臨床研究会のメールアドレスや電話番号など連絡先が掲載されている。
これはかつて、「がんが消えた、治った」といった、アガリクスやメシマコブなど抗がんサプリの劇的症例を掲載していたバイブル本とまったく同じ構成だ。わたしは同研究会の本も、読者をMDαの購入に誘導するバイブル本であると考えている(詳しくは、前回の記事「#74 『日本先進医療臨床研究会』は典型的な『バイブル商法』だ ~『mRNAワクチン中止を求める国民連合』はビジネスに加担するな~」2025年1月17日)を参照してほしい)。
しかし、同研究会の声明文は、これは「バイブル商法には当てはまらない」と主張している。その理由として挙げているのが、次の3点だ。
1.「当会の臨床研究が、医師が医療機関内で行う治療行為の枠組みで実施されており、薬機法の範囲外かつ医師法の院内処方に該当します」
2.「また、指摘された書籍等に掲載されているのは当会の臨床研究で扱う成分名でのエビデンス報告であり、薬機法で「広告」と定義される「商品名」の記載はされておりません」
3.「当該成分を含む商品は、医師の自由診療のための卸販売のみで、一般消費者へ販売していないため、『いわゆるバイブル商法』に該当しません」
これに一つ一つ反論していきたい。まず一つ目。同研究会はMDα(2022年か23年頃に「MATRIX」または「マトリックス(MDα)」へ改称)だけでなく、有機ヨウ素、アサイゲルマニウム、純パプラール水、タヒボDrプラス、11-1、酪酸、メチオニン分解酵素といった、多くのサプリメントを販売している。声明文は、MDαなどのサプリメントの販売は臨床研究のためであり、医療機関で行う治療行為の枠組みで実施されているので、薬機法の範囲外だと主張している。だが、わたしが指摘しているのは逆に、薬機法を逃れるために臨床研究や治療行為の形式をとっているのではないかということだ。
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