… … …(記事全文2,505文字)故安倍晋三元首相は凶弾に倒れる前の2022年春、「防衛国債」の発行に強い関心を示していた。「防衛国債」発行論は月刊「正論」22年3月号の連載コラム「経済快快」で「防衛国債」でデフレ脱却を」で、提起したもので、安倍氏は周辺に賛意を示していた。
国債は財務省の用語では「赤字国債」と「建設国債」に2分されるが、財政法では国債を「公債」と表現し、「赤字」、「建設」のネーミングを明示していない。
第4条は「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」とあり、財務省は歳出を税及び税外収入の範囲内に収めよと国債発行そのものを原則禁止している。つまり財政法は、今で言う基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の均衡または黒字を義務づけている。ただし例外として、公共事業費などの財源についてのみ毎年度国会議決手続きを条件としている。そこで、財政赤字分を賄う国債を法制上「特例公債」と呼び、通称として「赤字国債」を使う。「建設国債」の呼称も財政法上では使われていないが、インフラ建設用の財源として解釈されてきた。つまり、国債は赤字国債と建設国債に二分されている。
ただし、建設国債の対象となる事業範囲を拡げる解釈も可能である。もともと建設国債発行が例外的に認められるのは、公共事業のインフラ建設のように将来の経済成長をもたらすための基盤であり、税収増をもたらすことが確実視されるからだ。将来の経済を支えるという意味では、国家の安全基盤を強化する防衛支出も、人材を育てる教育も経済の安定成長に欠かせない。
さて、安倍氏の後継者を自認する高市早苗首相は2025年11月5日の衆院代表質問に答え、教育と防衛政策の強化に充てる「教育国債」「防衛国債」導入の可能性を問われ、「『未定だ』と前置きしつつ新たな財源調達のあり方を検討していると述べた。国債発行による財源確保に含みをもたせた」(11月6日ロイター電から)。教育、防衛の冠をかぶせるかどうかは別にして、基本的には建設国債の対象範囲を拡げる考えのようだ。
そこで、これから浮上しそうなのが建設国債を防衛事業に含めるという意味での「防衛国債」である。

国債は財務省の用語では「赤字国債」と「建設国債」に2分されるが、財政法では国債を「公債」と表現し、「赤字」、「建設」のネーミングを明示していない。