… … …(記事全文7,985文字)今回は無性に腹が立つことを2点取り上げる。ここできちんと指摘しておかないと、ますます調子に乗って事態が暴走しかねないからだ。
相手が個人なら多少腹が立つことがあっても文句は言わない。熱烈な某政党の支持者らがエキセントリックになり、むちゃくちゃな文句を投げつけてきても、とくに相手にしないし反論も控えている。理由は、この手の人たちは誤解に基づく予断に凝り固まっていることが多いからだ。互いに意思疎通を図る共通の言語がないので、言い返したところで議論は平行線をたどり、何らの生産性もない。議論が進展しないのなら時間の無駄でしかない。
だが、今回の相手は公権力だ。かたや日本国際博覧会協会という公的機関であり、かたや政令市の市長である。個人の戯言と異なり、こちらの発言の数々は冗談では済まない。これを放置しておくと、日本の民主主義は崩壊し、戦前・戦中のような暗い時代が必ず訪れる。私も一応、言論人のはしくれである。言論人であるならば、言うべきときに、かつ言うべき相手には文句の1つも言っておかないと罰が当たるというものである。
まず、2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会(以下、万博協会)である。私はこれまで多くの国際博や地方博を取材してきたが、ここまで最低最悪な万博協会は見たことがない。
今回の万博は前評判も悪く、いざスタートしても様々なトラブルが発生している。最近では事故によって地下鉄が一時的に停止し、万博会場に近い夢洲駅で足止めされる人たちが出てしまった。もっとも、これは地下鉄側の責任だが、それ以外では運営者に責任があるケースが多い。言うまでもなく運営者は万博協会だ。
同協会は国と大阪府・大阪市、そして経済界の三者によって共同運営される組織で、公益社団法人の資格を有している。税の投入や税制上の優遇を受けており、公的機関と呼べるものだ。公的機関だから、本来なら公平で公正、透明性のある運営が求められる。だが、実態は公平でも公正でもない。この組織がデタラメだから万博も問題が山積し、何かと文句を言われるのだ。
今回、私が万博協会をやり玉に挙げたのは、報道機関を選別する差別的な姿勢が理由の1つである。万博に賛同する新聞やテレビには取材の便宜を図り、そうでないところは徹底的に排除する。万博協会にはそのような陰湿な顔が見え隠れしている。以前に某マスコミ関係者から聞いた話だが、たとえば万博協会が制作した会場全体のイメージ映像を使うにしても報道する意図や目的の報告が求められ、万博を批判するような内容ならば映像の使用許可はなかなか下りないというのだ。その逆の場合はスムーズに許可が出るというから呆れてしまう。
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