… … …(記事全文8,393文字)それにしても酷い記者会見だった。日本維新の会に所属する兵庫県議会の議員3人が2月23日、神戸市内で行った会見のことだ。この会見には岸口実と増山誠、白井孝明の県議3人が出席し、N党の立花孝志に情報を横流ししたとされる問題について釈明した。時間も質問が途切れるまでという無制限のもので、最終的には延々約7時間も行われた。
タレントの中居正広によるスキャンダルで渦中のフジテレビが、同じく時間無制限の記者会見を今年1月27日に行い、こちらは10時間半にも及ぶ超ロングランのものになった。あまたある記者会見の中には、都合の悪い質問や回答が出ると、司会者が「そろそろ終わらせていただきます」と半ば強引にぶった切ってしまうものがある。フジテレビの場合はそれよりマシだが、昨今は時間無制限がトレンドになりつつあるのか。会見する側も取材する側もご苦労なことである。
維新の会見では新聞やテレビ、週刊誌といった既存のマスコミのほか、フリーランスのジャーナリストやネットメディアなど約50名が参加した。中には県知事選でボランティアとして斎藤元彦を支援し、いまもX(旧・ツイッター) などで斎藤応援団として著名な人物までが参加。堂々と質問までしていた。他にも、明らかに政治的な偏向が見られるネットニュースの個人経営者や、昨年の衆院選で関東地方から日本維新の候補として出馬し、落選した女性まで参加していた。いずれも肩書は「ジャーナリスト」「報道関係者」だったようだが、今回のように記者、ジャーナリストとして何の実績もない人物が参加できる記者会見も珍しい。いや、珍しいというよりも聞いたことがない。
「記者会見」とは、プロの記者が出席するから記者会見なのだ。記事や論評を書くことと無縁な素人サンが参加できる会見を記者会見と呼んでいいのか疑問である。たまに自治体や政治団体などが小中学生に記者会見を経験させることがあるが、あれは教育の一環であり、あくまでも模擬会見にすぎない。
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