… … …(記事全文3,983文字)●新潟日報社のアンケート調査
新潟日報社が、県議会議員、新潟県関係国会議員及び県内市町村長を対象に、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に関するアンケート行い、これまでに県議及び国会議員に対する結果が公表された。
主な質問及び回答の選択肢は以下のとおりである。
質問① 東京電力による柏崎刈羽原発の再稼働を認めますか?
回答 認める、認めない、判断できない
質問② 政府から再稼働要請のタイミングをどう受け止めますか?
回答 早い、妥当、遅い、判断できない
質問③ 花角英世知事は柏崎刈羽原発の再稼働に関し、自身の判断を示して「県民の信を問う」としています。どのような手法で問うべきと考えますか?
回答 知事選、議会提案、県民投票、その他の手段、必要ない
●前県議アンケート
5月3日付朝刊1面トップで新潟日報は、次の見出しで報じた。
「再稼働『認めず』半数超過」
「同意要請早い86%」
⇒「認める」か?
前県議53人を対象に行ったアンケートで、議長を除く52人から回答を得たという。政府は、県、柏崎市及び刈羽村に再稼働の地元同意を要請したが、東京電力による再稼働は半数超の28人(53.8%)が「認めない」と回答し、「認める」の3人(5.8%)を大きく上回った。
「認めない」とした28人の多くは、東京電力の不祥事による不信感が払拭されていないことや、元日の能登半島地震で示された複合災害時の避難に課題が解消されていないことを理由に挙げた。「認める」とした3人はすべて自民党である。
私は、「認めない」とする回答は賢明な判断とは思うが、避難の課題が解消することなど未来永劫ないとの認識がない点は評価できない。2015年新潟日報社が行った同様の調査では「再稼働すべき」が44人、東京電力の不祥事が発覚した2021年には「再稼働すべきでない」が18人であったことを考えれば、今回の数字は花角知事の判断に影響を与える可能性はあるが、半数超であり圧倒的多数ではない。
⇒「判断できない」とは?
県議会の最大会派の自民党(32人)は、「認めない」が12人だったが、最多は「判断できない」の15人であった。「判断できない」理由は、「東電への県民の不信が大きい。新会社も選択肢の一つ」。そうであれば「認めない」と回答すべきであろう。新会社つまり東京電力以外の会社による再稼働を、この期に及んで答えているのには呆れてしまう。また、「県技術委員会や避難の課題を見極める必要がある」という理由について、以前は「3つの検証が終わるまで」という理由が大方だった。これについても「認めない」と回答しても不思議ではない。しかし、花角知事の手によって、3つの検証が「強制終了」させられてしまった件について、何も言及がないのが大きな疑問である。
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)