ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/20230519054000109222 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●深刻な新潟県の人口減少 新潟県の人口減少が止まらない。1997年の249万人をピークに、2020年に220万人を割り込み、昨年10月1日時点の推計人口は215万2664人となり、前年同月比で2万4215人減少した。減少率は1.11%と前回調査よりわずかに悪化し、過去最大となった。県人口の減少は25年連続である。出生数の減少や若者の首都圏への「転出超過」(社会減少)が続いたことで、全国より速いペースで少子高齢化が進んでいる。 新潟県が行った10月1日を起点とした人口移動調査結果によれば、2019年10月~2020年9月の1年間で県全体の人口の動きは、県外への転出が転入を4779人上回る「転出超過」となり、都道府県別では、広島、愛知、福島に次いで全国で4番目に多い数字だった。新型コロナウイルス禍で停滞していた留学生ら外国からの転入が改善したこと等により、1年間で1412人回復したものの、社会減少は26年連続となっている。 また、東京都との間における社会減少は悪化しており、前回調査より263人増加の2131人超過だった。このうち20~24歳のほとんどが「職業」を理由に挙げる。人手不足や企業の事業継続に影響するのは明らかである。花角英世新潟県知事は、県の行政運営の基本方針となる「総合計画」に「住んでよし、訪れてよしの新潟県」というフレーズを盛り込み、若い世代の県外流出を抑え、Uターンや県外からの移住者を増やしたいとしている。 具体的には、ウェブサイトで若者向けに魅力ある県内企業の情報を紹介し、人材不足に悩む企業に対しては、学生の採用につなげるセミナーを開催する。東京にU・Iターンの相談窓口を2カ所設け、移住支援金も支給する等(「にいがた鮭プロジェクト」)である。しかしながら、新型ウイルス感染拡大後に生じた地方分散の動きをつかみきれていないのが現状だ。 新潟県は明治初頭、日本最大の人口を有していた歴史がある。すなわち、豊富な食料と再生可能エネルギーという二つのアドバンテージがあり、長期的に多くの人口を賄える実力があることは今も変わっていないと改めて認識する必要がある。したがって、ありきたりな方策ではなく、世間があっと驚くような本県ならではの奇策を打つことで、一層のU・Iターンを促す余地は十分にあると私は考えている。 ●加速する少子高齢化 県人口に占める0〜14歳(年少人口)の割合は11.0%と過去最低で、65歳以上(老年人口)の割合は33.7%と過去最高。これが示すとおり、少子高齢化が加速度的に進んでいる。 また、県人口の自然動態は、出生 12,006 人、死亡 31,467 人で差し引き 19,461 人の自然減少となり、24 年連続かつ過去最大である。 ●市町村別の人口動態 この1年間で、人口が増加したのは聖籠町の1町で(と言っても44人、0.31%増)、他の 29 市町村は減少した。減少数が最も多かったのが新潟市で5534人、次いで長岡市の2396人、上越市の2121人、柏崎市の1414人と続く。 減少率は、関川村が最も大きい3・21%。次いで阿賀町の3・08%、佐渡市の2・41%、十日町市の2.09%となった。ちなみに柏崎市の減少率は、1.76%である。 ●柏崎市でも進む小中学校統廃合 少子化を如実に表す指標が学校数である。全国的に見て学校の統廃合や休校が加速している。全国の小中学校は2020年に2万9793校と、10年間で約3千校も減った。都道府県別の減少率では青森県と福島県が25%以上、秋田県、岩手県が20%以上と東北地方が目立ち、増加は東京都だけだったとの報道を目にした。ご多分に漏れず、当地柏崎市でも小中学校の統廃合が着々と進められている。 柏崎市は「平成の大合併」により、人口が10万人近い自治体となった。だが、上述のとおり年々人口は減少し、昨年10月1日現在の人口は78732人と8万人を割った。この数字は合併前よりも少ない。市の面積は442平方キロメートルもあるため、人口密度は極めて低いと言える。 ●5年間で学校数半減の計画 その状況で現在市内には、20の小学校と11の中学校がある。市は、2024年度に小学校19、中学校10に、2028年度には、小学校16、中学校6に統廃合する計画を公表している。適正規模・適正配置推進ロードマップとして示されているが、拙速すぎるのではと違和感を抱く。合理性のみを追求する市長らしい所業だが、まだ議論の余地が残されているのではという気持ちは否めない。すなわち、地元住民の意見をもっと聴くべきではないのかということである。地元説明会は行われてはいるが、全く白紙状態から始めるわけではなく、すでに公表された計画を説明し追認させる形になっている。… … …(記事全文4,363文字)
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)