ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/20230512054000108936 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●総括委員会は休眠状態 柏崎刈羽原発再稼働の是非を判断するための「原発の安全性に関する新潟県独自の3つの検証」を取りまとめる総括委員会は休眠状態にあった。3つの検証について、全ての報告書は一応出揃っていた(県から内容は問わないから早急に出すよう圧力がかかったことは旧稿で述べた)が、それを総括する委員会の池内了前委員長(名古屋大学名誉教授)と新潟県との間で委員会の議題・運営に関して見解の相違があり、2年以上も委員会は開かれないまま、今年3月末には池内氏を含む7人の委員の任期が終了した。その後、再任や新任が行われることはなく、委員会が機能していない状態が続いていたのだ。 ●花角知事の暴挙 この問題について、花角英世新潟県知事は10日の定例会見で、今後は有識者で構成される総括委員会ではなく、防災局や福祉保健部など県の部局が総括を行うと述べた。花角知事自身にとって「煙たい存在」である池内氏をはじめとする委員の任期切れには一切言及することなく静観した。かと言って新しい委員を選任するでもなく、中途半端な格好で1カ月以上放置した。 できれば「イエスマン」ばかりの新委員を選任したいのが花角知事の本音であろう。しかし、そんな露骨な方法を取れば前委員の猛反発は必至であり、県民からの批判は免れない。そこで、「妥協案」として県の部局が総括を行うとしたのだろうが、本来の検証委員会の主旨から大きく逸脱するものであり、県にその能力があるとは考えられない。しかも再稼働に前のめりであるため、花角知事の意向に沿った「総括」となるのは明々白々である。これを暴挙と言わずして何と言うのか。 花角知事は、会見でこう述べた。 「これ以上、(池内氏と)押し問答を続けていても動かない」 取りまとめ手法について、県が部局横断で作業するとし、 「報告書はそろっているので、これらに齟齬がないか矛盾がないかをチェックしたうえで、エッセンスを取り出してまとめるということ」と説明した。 また、「県での取りまとめに心配はない」としたうえで、 「学識経験者の皆さんにはそれぞれから報告書を出していただいています。これを私たちが誤解したり曲解したりするなら、これからの歴史の中でご指摘いただければいいと思います」と開き直った。ちょっと待って欲しい。「これからの歴史の中でご指摘」とはあまりに軽率な発言で県民を蔑ろにするもので、時すでに遅しとなった場合どう責任を取るというのだろうか。 ●池内氏らの反応 池内氏は、メディアの取材にこう答えた。 「県が取りまとめるのでは、科学的な総括は期待できない。知事の思い通りの検証総括になることが明白になった。委員会の議論がしっかり反映されるか疑問が残る」 総括委員会の前委員で新潟国際情報大学・佐々木寛教授は批判する。 「県が取りまとめを行うのでは専門的な見地からの検討ができず、不十分だ」 (地元紙から) また、佐々木教授は自身のアカウントで以下のとおりツイートしている。 「『画竜点睛を欠く』とはまさにこのことですね。専門家なくして真の総括はできません。『取りまとめ』と『総括』は、まったく次元が異なります。せっかく5年間議論を積み上げて来たのに、これで台無し。知事の政府忖度で『総括なき検証』となってしまいました。残念です」… … …(記事全文3,771文字)
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)