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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

新潟県知事選 序盤戦を終えて

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2022052006000094711 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●公約「再稼働の是非は県民の信を問う」が消えた  新潟県知事選の告示から早くも1週間以上が経過した。まだ、地元紙は情勢調査結果を報じてはいないが、片桐奈保美氏を泡沫候補扱いする媒体もあり、現職花角英世知事が優勢であることは間違いない。自民党県連幹部からは「楽勝ではないか。そんな『気の緩み』だけが心配だ」という余裕しゃくしゃくのコメントが出るほどである。    花角氏は相変わらず「三つの検証委員会の結果が出るまで、柏崎刈羽原発再稼働の議論はしない」という煙幕を張っている。しかし、4年前の公約であった「再稼働の是非ついては県民の信を問う」が、今回の選挙公報からはどこかへ消えてしまった。これは、明らかにできる限り早期に再稼働することを示唆するものである。  憂慮するばかりだが、私が街頭宣伝に出ても、「柏崎刈羽原発は運転禁止命令が出ているんだから問題ない。どうせ無理でしょ」と楽観的な雰囲気が感じ取れる。逆に言えば、現職が引き続き県政を担ったならば、必ず再稼働するという危機感が共有されていない。 非常に危険な環境にあり、憂慮するばかりだ。 ●片桐候補の覚悟  もちろん首長選挙は現職が有利であり、ましてや、今までの数々の選挙ではバックアップする立場にあった片桐氏が、止むに止まれぬ決断で初めて「主役」になったのであるから、県民の間でも知名度はそれほど高くなく、簡単な選挙でないのは当然かもしれない。演説は決して上手でないのは否めない事実だ。しかし、その覚悟は並大抵ではない。すべてを投げ打ってでも、原発を運転させない、その言葉や姿勢に感銘を受ける人は私を含めて少なくないはずなのだが。  私の提言をよそに片桐氏は「地元の人たちが最も大変なのだ」と柏崎市内で街宣を行う。「万が一のとき一番危険な思いをするのは、そこで働く地元の方々と市民の皆さんです。私は柏崎刈羽原発を絶対に運転させません。廃炉にすれば雇用も確保できます」と断言する。今までの様々な選挙の候補者がここまで明言するのは聞いたことがない。私は思わず膝を打った。しかし、当地では原発の毒に当たった政治家、商工会や原発で働く人が多い。ちなみに私の隣家にもそういう人がいる。やはり、覚醒してもらうのは困難と痛感した。 ●花角氏の自画自賛は欺瞞  花角陣営は、分厚く組織化された態勢で余裕の選挙戦を展開している。自民党が強力に支援しているのにもかかわらず、「県民党」を自称する欺瞞で原発再稼働を争点からわざと外している。前米山隆一知事の突然の辞任で混乱したという県政を、船に例え「この4年間で新潟県という船は順調に航行してきたでしょうか!?」と自身の実績を誇らしげに語る。また、政府と太いパイプを有すると自慢する。実際に4年間を振り返れば、コロナ禍で経済は疲弊し、県外への人口流出に歯止めがかかっていない、さらに県財政は破綻寸前だ。どこが「順調な航行」なのか。さらに、花角県政は政府の言いなりであり、「政府との太いパイプ」とは、政府の指示が一方的に伝わってくる搬送路に過ぎない。  最も違和感を持つのは、「佐渡金山」の世界遺産登録のユネスコ推薦を自らの手柄と強調することだ。佐渡市では大うけのようだが、これについても韓国などからの反発により政府が尻込みしていたものを、安倍晋三氏をはじめとする嫌韓国会議員たちがゴリ押しした結果である。新潟県民は、欺かれていることに早く気付くべきである。 ●花角氏には自民参院選候補が密着  花角陣営には政府などで役職を務める議員が、連日応援のため来訪している。来たる参議院選挙で立候補予定の自民党候補は毎日のように同行しており、その度に地元テレビに顔を出す目に余る光景が続いている。花角氏を即時再稼働の目的で新潟県へ送り込んだ張本人の二階俊博自民党元幹事長も応援のため来県した。二階氏にとって4年間も再稼働を実現できなかった花角氏は用済みではないかと思うのだが。 ●薄情で意気地なしの立憲民主党国会議員  一方で片桐氏への応援であるが、自主投票を決めた立憲民主党の本件選出国会議員は薄情で意気地がない。立憲民主党幹事長の西村智奈美衆議院議員は「片桐氏から支持の要請があり、メッセージを送った」とメディアに語った。片桐氏の事務所開きではあいさつに立ったが、その際片桐氏に「これが最後です」と伝えたという。県知事選期間中は参議院選挙に向けた全国対応のため、応援に入る予定はないとする。梅谷守衆議院議員は、「後援会や地元支部と話し、中立だ」と語る。要請を受けた場合メッセージは出すものの、「呼ばれても、どちらにも応援は行かない」のだそうだ。さすがに、立憲民主党の会合で片桐氏推薦を強硬に反対した人らしい。新潟県民のことなど歯牙にもかけないだろう。森裕子参議院議員は、応援演説はしているものの「連合の推薦を外れてもいい覚悟で片桐氏を応援する」という話しは、どうやら単なる噂だったようだ。それにしても打越さくら参議院議員は何をされているのだろう。 ●れいわ新選組が推薦 山本太郎代表来県  それでも私が間に入り、れいわ新選組の推薦を取り付けたのは良かったのだが、陣営のれいわ新選組に対する認識が希薄だったのには落胆した。だが、これも私の依頼で来県した山本太郎氏は圧巻の応援演説をしてくれた。メディアが同氏ばかり注目したのは良かったのか悪かったのかは分からない。山本氏は、「花角氏が財務省などの官僚を県に出向させて行ったのは、県職の人員と賃金の削減だ。こんなことは絶対にやってはいけないこと。この時世に病院を減らし医療体制を脆弱化するとは信じられない。花角氏は、すべて政府の言いなりになっている。それでは、新潟県は衰退するばかりである。柏崎刈羽原発を再稼働することも時代錯誤であり、エネルギー転換策をとる世界の潮流に逆行することだ。県民のためなら国に抗ってでも自分の考えを押し通すことが知事には求められる。行政経験などは関係ない。要するに肝の座った人が県のトップに立ちやりたいことをやればいい。それを兼ね備えている人が片桐奈保美氏だ」と力強い言葉でエールを送ってくれた。 ●おしどりさんが駆け付けた  また、おしどりマコさん・ケンさん夫婦も居ても立っても居られないと応援にきてくれている。お二人は、福島第一原発事故以降、大手メディアも出席しなくなっている現在も東京電力の記者会見をネット生中継しているほか、福島県や事故現場を精力的に取材し発信している。おしどりさんは、「『ただちに影響はない』と発言する官房長官を報道するテレビ局関係の人が大阪に避難してきた。原発に関わるようになってから、吉本興業から注意をされるわ、仕事は減るわ、で散々です」と息の合った「掛け合い演説」をしてくれている。  私も微力ながら街頭に立ってこう訴えている。「柏崎刈羽原発6、7号機は、世界中のどこにもない原発で新しいタイプの原発です。クルマで言えば、販売前の試作車です。そんなものを東京電力は、柏崎刈羽に建設し運転までしてしまった。それを運転する人たちの3割以上が運転経験のない、いわばペーパードライバーであるのが現状です。試作車をペーパードライバーが運転する。これ以上危険なことはないでしょう」 「上越線と上越市の違いが分からなかった方に地元出身などと言って欲しくない」
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