ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2022051306000094439 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// ●原発再稼働是非の命運を分ける県知事選 題記は、新潟県知事候補・片桐奈保美氏のキャッチフレーズである。いかにも片桐氏らしいが、選挙戦のスタートも原点の東京電力柏崎刈羽原発至近の海岸からであった。東北電力巻原発を撤退に追い込む運動に尽力した実績を有し、お兄さんとの二人三脚で住宅メーカーを立ち上げ、県内有数の会社に築き上げた経営手腕も持ち合わせている。是非、その手でまずは柏崎刈羽原発を廃炉に追い込んでもらいたい。 もちろん脱原発・反原発のワン・イシューで選挙を戦うわけではないが、どんなに立派な公約を掲げても原発事故が起きれば、すべてが水泡に帰す、というのが片桐氏の主張なのである。 今回の県知事選は、柏崎刈羽原発だけではなく、全国の原発の再稼働是非の命運を分ける非常に重要なものであると言っても過言ではない。 ●私が抱く懸念 気になるのは、柏崎刈羽原発が事実上の「運転禁止命令」を受け、つまり再稼働が「凍結状態」となっていることだ。これにより、県民の問題意識が薄れ原発が争点とならず、ひいては投票率の低下を招く。運転禁止命令さえ知らない人がいるのも懸念される。結果として、現職の花角英世知事にとって有利に働く。無論、花角陣営はそれを期待しているのだろうが。 もうひとつは、前回(2018年)の県知事選とは様相が大きく異なることだ。4年前は、曲がりなりにも野党共闘が成立し、市民団体はもちろん連合新潟も支援していた。ところが、今回は連合新潟が早々に花角支持を打ち出したため、連動して立憲民主党は自主投票となり、自民党、公明党はもちろん国民民主党や商工会、農協などが花角氏を支援する。陣営に言わせると盤石な体制とのことだ。したがって、片桐氏の支援は、社民党、共産党、れいわ新選組、立憲民主党の森裕子参議院議員、前知事の米山隆一衆議院議員、市民団体に限られてしまった。 ●前回の県知事選を振り返る ⇒米山県知事、突然の辞職 当時、私は在住していた東京でニュース速報を目にした。 「米山新潟県知事辞職の意向。女性問題で」 たしか、米山氏は独身だったはずで、女性問題とはどういうことかと疑問を抱いた。しかし、事実を知ると弁解の余地は全くなく、擁護することなど到底できないと思った。極めて残念なことだが、それよりも再選挙の結果次第では柏崎刈羽原発の再稼働を余儀なくされる不安の方が先に立った。 ⇒事実上の一騎打ち 新潟で応援 2018年6月10日投開票の新潟県知事選挙には、いずれも無所属新人で前五泉市議の安中聡氏、自民、公明両党が支持する元副知事で前海上保安庁次長の花角英世氏、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民の野党5党が推薦する前新潟県議に池田千賀子氏の3人が立候補した。 やはり争点は、柏崎刈羽原発再稼働問題だった。しかし、いずれの候補も再稼働には慎重な姿勢を示し、「違いが分からない」と困惑する県民の声があがっていた。 しかし、自民党二階俊博幹事長肝煎りの花角候補は、安倍政権が進める原発政策を踏襲し、再稼働を容認するに違いない、というのが私を含め大方の見立てだった。そうした危惧のなか、地元の友人からこんな連絡があった。 「自民党の東電関係者も巻き込んだ大攻勢で池田さんは劣勢らしい」 「彼らは政権の浮沈がかかっている。本気だぞ」 それを聞いて居ても立ってもいられなくなり、選挙戦中盤だったが急遽新潟入りした。 そして一週間にわたり、池田千賀子氏を応援した。 池田陣営のキャッチ・フレーズは「新潟のことは新潟で決める」。政府の政策とは一線を画す頼もしいものだった。 私は論点を原発一本に絞り、次のとおり訴えた。 「今回の選挙は、地元はもちろん新潟県ひいては日本全国の命運がかかる重大なもの」… … …(記事全文3,927文字)
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)