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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

えっ! 「持続可能な子ども食堂」って⁉(上)

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2022021106000090860 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// 〇ラジオから聴こえてきた「持続可能な子ども食堂」  地元のラジオ局「FM新潟」のある番組でパーソナリティが「持続可能な子ども食堂」と言うのを聴いて、ぶったまげてしまった。現在、日本では子どもたちの7人に1人が貧困に苦しんでいると言われており、そういった子どもを救済すために始まった活動が「子ども食堂」だと私は認識している。その活動を否定するつもりはないが、あくまで緊急避難的、対症療法的な対策であって「持続可能」であってはならないのではないか。必要悪だとする人もいる「子ども食堂」を開設しなければならないような貧困が存在する社会の現況を根本的に掘り下げる必要があるのではないか。そう自問自答した。 〇「子ども食堂」の現状  確かに、全国的に「子ども食堂」が広まっているが、様々な課題を抱えていることは承知している。例えば、本当に「子ども食堂」を必要としている子どもが、開催情報を知らない、保護者が利用することを許さない、他の利用者に遠慮する、安価で食事ができると安易に利用する保護者がいるなどの理由で利用できないでいるという。また、「『子ども食堂』に参加している子どもは貧困」「『子ども食堂』が開催されている場所は貧困」といったラベリング・スティグマ(無意識的差別)が付与され、開催自体を地域が反対するケースもあるとのことだ。  これは、「子ども食堂」というものを広く世間に伝えたメディアが当初「貧困対策」という部分を強調したために付いたイメージだと考えられている。そのため、貧困対策のイメージを払拭するため、店のネーミングを「地域食堂」に変えたり、利用対象を地域住民の全員に拡大し、地域のコミュニティの場所として運営したりするなどの対策が取られるのが最近の動向である。  そして、最も違和感を覚える問題点は「子ども食堂」の運営活動費は、ほとんどが寄付によるものと開催者の自己負担で賄われており、協力するスタッフのほとんどがボランティアに頼っていることである。なかには、行政が支援しているところもあるという。これは明らかに主客転倒ではないのか。 〇新潟日報も「子ども食堂 地域の核に」  数日後、地元紙新潟日報の記事を読んでまた驚いた。見出しは、「子ども食堂 地域の核に」である。上述のFM新潟と新潟日報及びBSN新潟放送3社による「こどものいばしょ応援プロジェクト」が主催したセミナーの紹介記事であった。電通東日本も事務局として参加する同プロジェクトの目的は、新潟県や県福祉協議会、新潟市福祉協議会の協力を得て、「子ども食堂」への理解促進と募金の呼び掛けを行うことである。ちなみに、協賛として10社の企業も名を連ねている。  同セミナーでは、食堂を運営する3人とトークセッションが行われ、活動の内容及び問題点、新型コロナウイルス禍への対応などについて意見交換し、情報共有の必要性を確認したという。この文脈においても「持続可能」というワードが出てくる。また、その前の基調講演では、新潟県立大学の小池由佳教授が、第一の家庭、第二の学校どちらもしんどい子どもにとって「とびきり居心地のよい場所」として第三の場所「サードプレイス」が必要。「子ども食堂」は「縁食型サードプレイス」ともいわれ、未来づくりにつながると述べている。さらに、記事の下欄にはSDGsの文字が掲載されている。  ここにもSDGsが、猫も杓子も・・・。何でも「持続可能な」と言っていればそれで済んでしまうのかと辟易してしまうが、この記事を読んだ限り「子ども食堂」を持続可能なものにする、としか解釈できない。また「サードプレイス」について、現状を考慮すればその必要性を否定するものではない。ただ、私たちの時代、「孤食」になっている子どもについて、昔は学童保育もなかったし、「鍵っ子」も大勢いたが、それほど大きな問題にはならなかった。また、学校には教室以外にも「保健室」や「図書室」といった居場所があったような気がする。しかし、家族の形態やライフスタイルが変化している現在、こんなことを言うと叱責されるのだろう。昭和の古い価値観をもつオヤジの昔放しである。 〇「こどものいばしょ応援プロジェクト」事務局に訊く  本題に戻る。持続可能な「子ども食堂」にはどうしても納得がいかず、「こどものいばしょ応援プロジェクト」事務局に問い合わせた。担当者は1人しかいないらしく不在であり、時間をおいて先方から連絡があった。 「『子ども食堂』ですべての貧困が解消されるとは考えていませんが、それでも『持続可能な』とするのには違和感があります。行政がやるべきことではないのですか」と問うと、 「私たちの言う『子ども食堂』とは、「居場所、食、学習支援」を目的とするものです。したがって貧困や孤食対策だけと解釈して欲しくありません」という応えが返ってきた。
… … …(記事全文3,622文字)
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