ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2022010706000089440 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// 謹賀新年 昨年は、ご愛読いただきありがとうございます。本年もよろしくお願いします。 新しい年を迎え、拉致、原発及び安全保障の3つの問題について、思うところを書き連ねてみた。 〇拉致問題 もう本当に「待ったなし」であることは論を俟たない。今年は、メディアが大好きな節目がいくつもある。すなわち、家族会結成から3月で25年、弟たち拉致被害者5人が帰国してから10月で20年、そして横田めぐみさんが拉致されてから11月で45年である。これほど長い時間、放置している日本政府には憤りを覚えるだけだ。メディアは今度こそ感傷的なものではなく、核心を突く報道をして欲しい。本来ならば、被害者の帰国を伝える報道が行われるべきなのだが。 北朝鮮は、新年早々ミサイル発射実験を行った。政府は、「敵基地攻撃」も視野に入れて警戒を強めるという。昨年も書いたが、「敵基地攻撃」を明言している以上、「金正恩総書記と向き合う」ことは不可能である。どうやって活路を見出していくのか、残念ながら同じセリフを繰り返すばかりの岸田文雄首相からは本気度を感じ取ることができない。拉致問題担当大臣はコロコロ代わり、拉致問題対策本部事務局メンバーも数年周期で入れ替わって20年間一貫して担務しているのはわずか1人という体たらくである。 家族会設立の発起人である、元日本共産党橋本敦参議院議員秘書の兵本達吉氏から届いた年賀状には、今年も「拉致被害者は全員殺されている。薫さんには是非真実を語って欲しい」と書き添えられていた。まず、弟が未帰国の被害者の生死を知るはずがなく、確認ができない限り生存を前提に交渉するべきとの姿勢を貫いている。実は兵本氏の発言は今に始まったことではない。 2003年頃、家族会の会議で同様の発言をして家族から大ひんしゅくを買ったことがある。長年にわたって拉致問題を調査・研究してきた兵本氏が出鱈目を、しかも当事者の面前で言うとは考えられない。しかし、根拠を明かすことはしない。おそらく、田原総一朗氏と同じ外務省筋からの情報と私は推測している。外務省が目指すのは、拉致問題を早く片付けたうえでの国交正常化であることから、頷けるところだ。 家族会は、いい加減に政府と「一体化」するのではなく、以前のように厳しい言葉を浴びせるくらいの態度を示してもらいたい。また、「交渉」を求める路線に転換したことは評価できるが、「全員一括即時帰国」はいただけない。あまりにもハードルが高すぎるからだ。政府もブルーリボンバッジを付けて安穏としているのではなく、今年中に解決できなければ全員辞職するくらいの覚悟で臨んで欲しい。しかし、夏には参議院議員選挙がある。次の選挙のことしか考えない、いわゆる「政治屋」内閣だとしたら期待薄なのは明白だ。 〇原発問題―「2050年カーボンニュートラル」との関係から 菅義偉政権が、「2050年カーボンニュートラル」宣言をしたことは、政権浮揚策であったものの評価できる。しかし、原発は再稼働し、第6次エネルギー基本計画でも原発がベースロード電源と位置付けられている。宣言が、原発生き残りのための口実になり下がったとしか感じられない。それでも、菅政権時代には「再生可能エネルギー」最優先と経済産業省に抗う勢力があったことも事実であるが、岸田政権誕生とともに雲散霧消してしまった。その背景には、電事連、経団連など経済界の反抗もあった。 完全に時代の潮流に乗り損ねていると言わざるを得ない。挙句の果てに、自民党高市早苗政調会長が小型原子炉の導入に言及する始末だ。小型原子炉など過去の遺物と考えている私には滑稽と言う他はない。ところが、アメリカでは、あのビル・ゲイツ氏が小型原子炉を先導しているのだ。同氏が会長を務める原子力ベンチャーのテラパワーと電力会社パシフィコープが、米ワイオミング州にナトリウム冷却型の次世代小型原子炉第1号を建設する計画だという。 既存の原発でさえまともに稼働できないのに、次世代小型炉が順調に建設・運転されるとは到底考えられない。しかも、電気出力は34.5万キロワット、これが小型原子炉なのか冗談だろう。「原子力ムラ」や「原子力中毒」が存在するのは日本だけではないということだ。さらに、他の国にも原子力ムラがあり、原発に執着している。… … …(記事全文4,494文字)
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)