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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

不祥事で明け、不祥事で暮れる1年 柏崎刈羽原発

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2021123106000089214 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 ////////////////////////////////////////////////////////////////  1月23日付けの読売新聞のスクープ「原発中枢他人のIDで入る~柏崎刈羽所員規定違反の恐れ」から始まった柏崎刈羽原発の不祥事ドミノ。なぜ、読売新聞なのかは別にして、この報道がなければ、全てが闇の中に葬られた可能性があった。ちなみに、情報源は内部通報だったという。 〇1月~6月 ⇒IDカード不正使用 工事未完了  東京電力は、柏崎刈羽原発7号機の2021年夏頃の再稼働を目論んでおり、同号機の安全対策工事完了を高らかに宣言し、1月25日の柏崎市を皮切りに5カ所で「地域に皆さまへの説明会」を開催しようとする矢先のことだった。IDカード不正使用に関して、東京電力が反応したのは1月25日のことだったが、同時に同説明会は強行する策をとった。さらに、同説明会の最中に安全対策工事が完了していない箇所があることが発覚した。いかに、拙速かつお粗末な工事が行われていたのかが、露呈する形となった。  同説明会は無効であるとする地域の声には耳を傾けることなく、東京電力はすべての日程を終えた。しかし、その後も1~3月にかけて安全対策工事未完了案件が続々と発見され、約2万カ所以上の総点検を行う羽目になった。総点検の完了は来年の2月とされている。  IDカード不正使用に関して、「核物質防護上」を口実に詳細が明らかにされなかったが、2月8日に原子力規制庁がようやく、一部の経緯を明らかにした。また、2月9日、慌てるかのように、原子力規制委員会は重要度評価・規制対応措置会合(SERP:Significance and Enforcement Review Panel)を開催した。その結果、今回の事案は安全確保の機能・性能に影響があり、東京電力自身では改善が見込めないと判断し、原子力規制委員会が関与して改善を図るべきだとする「白」と評価された。これを受けて東京電力は、社長以下原子力関係幹部、不正使用社員の処分を発表した。 ⇒核物質防護の不備 運転禁止  直後の2月19日、柏崎刈羽原発の侵入検知にかかわる核物質防護設備を協力企業の作業員が誤って1か所損傷させたと発表された。1月27日に発生し、同日中に代替措置を講じ、原子力規制庁に報告したという。重大案件だが、事態はこれだけには留まらなかった。  3月16日、原子力規制委員会が、柏崎刈羽原発への侵入者を検知するための核物質防護設備が16カ所で損傷、うち10カ所でとられていた代替措置が不十分で、2020年3月以降、機能が喪失し検知不可能だったと発表したのだ。つまり、テロ目的など外部から発電所への不法侵入を防止できない脅威が長期間継続していたということである。より悪質なのは、警備担当の社員が代替措置の不備を認識していながら、放置していた点だ。原子力規制委員会は、この最悪の事態に対し重要度評価区分で最も深刻な「赤」との見方を示した。いわばレッド・カード一発退場である。  3月24日、原子力規制委員会は、柏崎刈羽原発でID不正利用による中央制御室入室やテロ防止対策に関する侵入検知設備の長期機能喪失など相次いで発覚した核物質防護対策の不備について、同社に対して核燃料の移動を禁止するなどの行政処分「是正措置命令」を出した。事実上の運転禁止であり、商用原発では初のことである。 〇7月~12月 ⇒溶接不良内部通報  9月23日までに、不適切な核物質防護事案に対する報告書(以下「報告書」)の提出を求められた東京電力だが、7月7日付け毎日新聞の「溶接不良」報道に関し、同日次のとおり発表した。 「7月7日付毎日新聞朝刊28面において、『柏崎刈羽原発 また工事不備』の記事のなかで、『東電によると、3月以降に“6、7号機の消火配管で、ずさんな溶接がされている”という複数の内部通報があった。』と報じられておりますが、当社がお伝えしているのは、以下のとおりです」 「当社柏崎刈羽原子力発電所において、『消火配管の工事』に関する申告があったのは事実です。申告案件という事案の性質に鑑み、申告内容や調査状況の詳細を明らかにするのは、現時点では差し控えさせていただきますが、発電所の安全確保に万全を期していくため、申告内容に基づく調査や事実確認を進め、調査結果に応じて厳正な対応を行ってまいります」  7月30日になって、東京電力は6号機の30カ所で配管のさびなどを確認したと発表した。調査は続いており、完了は見通せないとした。 ⇒報告書提出 最後のチャンス  9月22日、東京電力は原子力規制委員会へ136ページからなる報告書を提出した。その内容は、原子力規制委員会をはじめとする関係者から不評を買った。会見で、6月新たに会長に就任した小林喜光氏は「これが最後の機会(チャンス)」と言い放った。だが、同じ会見で、建屋火災検知器が適切な位置に設置されていない事例が複数あったと公表するなど、説得力に欠ける言葉であった。 ⇒火災検知器設置位置不備  東京電力は改めて建屋内の約2000台の火災感知器を点検し、8月16日複数の設置場所の不備が見つかったことを原子力規制庁に報告した。関係者によると、不備があった感知器は約100台に上るという。東電は「点検状況を取りまとめており、近く説明する」とした。 ⇒大物搬入建屋支持杭破損
… … …(記事全文4,580文字)
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