ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2021122406000088942 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// 泉田裕彦衆議院議員の公式ツイッターへの投稿を発端にした、衆議院選挙新潟5区の「裏金要求問題」。泉田氏が星野伊佐夫新潟県議会議員から裏金を要求されたと公表した件である。メディアは、専ら「どちらがシロかクロか」といった問題を矮小化した報道をしている。また、ローカルニュースではその傾向が顕著であるほか、ワイドショーの格好のネタとなって面白おかしく扱われている。そんな事の本質から著しく逸脱した報道姿勢に私は辟易している。 〇泉田氏の一連の発信は不可解 まず、泉田氏の一連の発信は不可解である。突然ツイッターに投稿し、その後記者会見を開いたが、情報を小出しにする。裏金要求があったことを明らかにしたことは、一定の評価ができる。しかし、自らの潔白を証明したいのか、あるいは単なる目立ちたがり屋なのか、目的があまりにも小さすぎる。星野氏の「自民党からの除名を求める」だけである。これは、先の総選挙における星野氏との間の私怨によるものとしか思えない。実際、新潟5区では保守分裂の構図で、地元支援者の間でも泉田氏への不満が渦巻いていることから、出馬を見送るのではないかとの噂もあったほどだ。 毎日新聞が、新潟版で「泉田氏擁護の声、続々」と報じた。あまりにも、新潟県政や泉田氏の人となりを理解していない記者が書いた陳腐な記事と言わざるを得ない。仮に、泉田氏が、広島の河合克行夫妻の事件と同様なことが行われようとしており、これは全国的な自民党の悪しき体質であると党本部を糾弾しようとしたのであれば、擁護されてもいい。だが、泉田氏がそこまで、反旗を翻し、鋭く斬り込むわけがないことは、過去の言動を振り返れば明らかである。 〇星野氏は論外 一方の星野氏であるが、新潟県議を12期務める御年82の「新潟のドン」と呼ばれる人である。県内の土木・建築業者等は「星野参り」を行うことが当然とされている。2019年には、長岡市が発注する下水道工事に関連する官製談合事件で同氏の秘書が逮捕された。 泉田氏の告発に対し、「事実無根」としていた星野氏だったが、音声データが公表されると伝えられると、「全部思い出しちゃったよ」と前言をあっさり撤回した。なんと都合のよい記憶回路をお持ちなのだろうか。 音声データによれば、次の内容が記録されていた。 「(小選挙区で)2位であるというのは間違いない」 「比例に引っかからなかったら終わりだよ。2000万や3000万をもったいながったら人生 終わるよ」 「まくというのはばらまくんじゃない。地区地区のね。たとえば、○○さんですよ」 「いちいち警察に報告するわけじゃないんだから、あとで悔いが残ると」 「この話は早く言えば、秘書の耳に入れてもいけない」 「そんな(広島の)こと言ったらきりがねえから。そんな話は正面の話なの。絶対ダメだ よと言うのは、裏は何していると。そういう世界なんだから」 星野氏は、自身の声かどうかは明言していないが、「選挙にいくらかかるかと訊かれたから」「あくまで要求したのは会場費や切手代などの政活費」と発言が二転三転した挙句、「音声テープの改ざんだ」と言い出す始末だ。泉田氏は、今時カセットテープで録音したのか。時代錯誤も甚だしい。いずれにせよ、星野氏は限りなくクロに近いのは間違いないだろう。比例復活したのだから、どこかで2000万や3000万まいたんでしょ、と皮肉の一つも言いたくなる。 〇自民党の選挙での買収は常識化? 結果、自民党長岡支部は泉田氏を「愛党精神に欠ける」などとして新潟5区支部長の差し替えを求め、星野氏は、泉田氏の主張を重ねて全面的に否定したうえで「党に迷惑をかけた」として離党届を自民党県連に提出した。当の県連は、第三者の弁護士による両氏からの意見聴取を行い、星野氏の離党届を受理するかどうかなどの処遇を年内に判断する、と暢気なことを言っている。肝心の自民党本部は、われ関せずと沈黙を保っている。 おそらく、県連の判断は「喧嘩両成敗」という茶番で決着するものと推測される。例え、星野氏が離党しても「星野参り」の慣習がなくなることはないだろう。参考までに記すと、現在でも村議選1票1万円、村長選1票5万円という買収が平然と行われている村が県内に存在している。 何より、私が強調したいのは、自民党が厳しい選挙では全国的に買収が常識化されている可能性があり、そこにこそフォーカスを絞るべき、ということだ。 〇泉田氏の過去の言動 泉田氏は、新潟県知事時代「奇人・変人」と揶揄され、県幹部はもちろん職員の評判はすこぶる悪かった。私の弟も「以前、泉田氏に呼ばれて話をしたが、拉致とか北朝鮮は話題にならなかった。何をしに県庁まで行ったのか、変わった人だ」と話していた。とにかく後先考えることなく、県民受けする政策にはすぐに手を出す。しかし、自身が泥をかぶることは絶対にせず、責任を取ることもしない。一見県民の味方のようで、実は私利私欲の塊であり、アピールの姿勢を示すことには長けているが、実が伴わないというのが見識を備える県民の評価である。… … …(記事全文4,994文字)
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)