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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

拉致被害者に対する損害賠償について考える

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2021111906000087558 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// 「北朝鮮での生活は、自由がなく夢や希望を奪われた24年間だった。失われた24年間は決して戻っては来ない。だが、今後は日本でそれを超えるような生活をしていきたい」  日本へ帰国した後、弟は前向きに語った。あれから19年余が経過したが、果たして弟は「それを超える」生活を送ってきたのだろうか。 〇失われた24年を超える生活 ⇒拉致被害者支援法は生活保護  帰国した拉致被害者には、「北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律」(以下「支援法」)に基づき支援が行われている。この法律は、2002年11月、安倍晋三官房副長官らが中心となり国会に提出され成立した、議員立法である。これにより、帰国した拉致被害者が国によって衣食住が手厚く保障されているという噂が流布し、被害者を悩ましていることは以前述べた。  安倍副長官から事前に支援法草案を見せてもらったのだが、第1条には、拉致被害者に「慰謝」という文言があった。内容は、被害者一人当たり月額約13万円を足らず(子どもは3万円)を支給することにより、早期の自立に資するものであった。また、収入が発生すると支給額を減額するという。生活保護と同じ概念に基づくものである。  この程度でどこが「慰謝料」となるのか、非常に腹が立って、抗議するとともに削除を求めた。結局、その文言は法案から削除されることになったのだが、あまりにも金額が低すぎるのではないか。弟たちは着の身着のまま帰国したので、衣食住すべてがない状況にある。この指摘に対して、平沢勝栄拉致議連事務局長から「『厚生労働委員会審議』で野党側が吊り上げるからこの程度にしておく、心配無用だ」との説明があった。  ところが、厚生労働委員会審議を傍聴に行った私が見た結果は、逆のものであった。審議では13万円は高過ぎるという意見が出た。戦後の中国残留邦人帰国者と比較しても優遇され過ぎるというのが、その理由だった。厚生労働大臣は「戦時中の問題と平時における極めて特殊な事情がある拉致とは比較できない」と答弁していたが、結局金額は引き上げられることなく支援法は成立したのである。
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