ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2021070906000082254 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// 東京都では、東京五輪開幕日から逆算した緊急事態宣言解除後、「想定外」の急激なリバウンドが顕著になったことから4回目の緊急事態宣言が発令された。これは、科学的根拠のないまま有観客開催にこだわった政府の失策であり、「想定外」とは笑止千万である。誰もが予想していたことではないか。それでも観客の有無については決定していないとは呆れるばかりである。緊急事態宣言下の東京五輪開催、悪い冗談としか言いようがない。 菅義偉首相は、未だに全く具体性のない「万全の態勢で対応していく」と空虚な発言をしている。本気でコロナ感染拡大を抑えるのであれば、即刻東京五輪を中止し、手厚い補償を前提とした短期集中のロックダウンしか方法はない。私はそう考えている。 そんな中で、あえて本稿で標題について言及する理由は、今週ちょっとした出来事があったからである。 〇信州大学教育学部付属中学校からの講師依頼と突然のキャンセル 知人である長野県のA氏を介して、信州大学教育学部附属中学校から弟に対し、1週間後に拉致問題について講師をして欲しいとの依頼があった。同校で企画するSDGs学習の一環だと言う。昨今、猫も杓子もSDGsを標榜しており、ご多分に漏れないことかもしれないが、それと拉致問題を結び付けることには、いささか無理があるのではとも感じた。しかし、SDGs16の「平和と公正をすべてに」つまり世界の平和という目標関連だと言われれば、なるほど真っ向から否定することはできない。 だが、当日弟の都合がつかない。そこで兄である私が代役を勤めてくれないかという話になった。そもそも拉致問題は、中学生のような若い人たちに託すべきではなく、我々の世代で解決する問題である、というのが私の基本的な考え方であり、あまり気乗りがしなかった。ただ、日ごろからお世話になっているA氏からのたってのお願いということで受け入れることにした。その旨を伝えたところ、同校の担当教員は非常に喜んでいるとの返事があったのである。 ところが、翌日になってA氏から「講師はご遠慮いただきたい」と同校から連絡があったと電話がきた。A氏は、「理由は県外の人だからと先方は言っていますが、そんな子ども騙しは通用しません。後刻同校から直接説明させます」とも伝えてくれた。私には同校が「お断り」する理由は容易に想像できた。日ごろから拉致問題に関して、政権批判をしている私のことを煙たがっていうのだろう、と。 過去にも似たような経験をした。ある北海道の中学校で拉致問題に関する講師役を務めたとき、学校側から「政府批判はしないでください。また北朝鮮という言葉は極力出さないでください」と要請があった。つまり、政治的な内容はしゃべるな、ということである。「それでしたら話すことは何もありませんが」と抵抗したものの、結局当たり障りのない話をするしかなかった。要は教育現場では、「お涙ちょうだい話」「浪花節」でなくてはならないのだ。それ以来、中学校や高校で講師をすることは、ややこしいことになるとずっと思っていた矢先だ。… … …(記事全文3,725文字)
蓮池透の正論/曲論
蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)