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蓮池透の正論/曲論

蓮池透(元東京電力原子力エンジニア)

蓮池透

拉致問題は外交(国際)問題のはずが国内問題も山積(下)

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00200/2021071606000082518 //////////////////////////////////////////////////////////////// 蓮池透の正論/曲論 https://foomii.com/00200 //////////////////////////////////////////////////////////////// 〇「家族会」と「救う会」  1997年3月25日、「家族会」(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)がスタートした。会の目的は、世論を盛り上げて日本政府を動かすことだった。日本会議が、この年に「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」とが統合し、結成されていることは非常に奇遇なことである。    「家族会」は高齢者がほとんどで、なかなか動きようがなかった。そこに、いきなり雑誌「現代コリア」を発行する佐藤勝巳氏、西岡力氏、荒木和博氏他から、全面的に会を応援したいという話しが舞い込んで来た。署名を集めようにも、署名用紙に始まり、ボールペン、テーブル、スピーカー、テント、タスキといったインフラが全くなく、もちろんノウハウもなくて困っていたところに、彼らはノウハウとインフラを無償で提供してくれた。「家族会」にとっては渡りに船であった。同時に彼らは「救う会」を名乗ることとなった。  やがて、全国道府県に「救う会」の組織ができた。例えば長崎県では日本会議のメンバーが中心となった。その後、全国各地の「救う会」を統括する「救う会」全国協議会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)が設立され、その会長に佐藤勝巳氏が就いたわけである。東京・田町にある旧民社党系の友愛会館で定期的に勉強会が開かれるようになった。当時われわれは、北朝鮮情勢などは全く知る由もなく情報に飢えていた。そこで、佐藤氏は、まるで昨日行って見てきたかのように北朝鮮の話をした。私たちは息を凝らして佐藤氏の話に聞き入った。  話の内容は、「北朝鮮憎し」ばかり、秋になると、もう北朝鮮はこの冬は越すことができない、北朝鮮の政権は倒れる、そう佐藤会長は繰り返した。今考えると、どうして北朝鮮が倒れれば、つまり政権が崩壊すれば、被害者が帰ってくるのか理解できない。非常に短絡的であり、政権が崩壊となったら、まず権力者が海外逃亡・亡命するにしても、都合の悪い者は抹殺していくことは想像に難くない。しかし、当時の私たちは何も知識がなかったため、佐藤会長の言うことをただ信じ切っていた。  都合5、6年にわたって、毎年、北朝鮮の政権は今年の冬は越せないということを聞かされてきたが、未だに政権は倒れていない。こういう勉強会という名目で、当時右でも左でもなく、はっきり言ってノンポリの「家族会」が、どんどん佐藤色に塗り固められて行ったというのが、実際のところだ。完全なる無自覚な右傾化、極右傾化と言ってもいい。拉致の存在に否定的な政治家やメディアには抗議文を送るなど、小泉訪朝前からすでに排他的な姿勢が突出していたことが物語る。  抗議文や声明文は、「家族会」代表横田滋、「救う会」会長佐藤勝巳の連名で出していた。内容は、次第に過激になり、アジテーション・ビラ化したが、それは全て救う会が作成していた。横田家に原案がファクスで入り、それを滋さんが追認するという手続きはあったものの、とても滋さんが書くとは思えないような連名の文書が発表されていた。
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