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山岡鉄秀の対外情報戦で勝ち抜けろ!

山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)

山岡鉄秀

台湾有事:日本が直面する当事者のジレンマ~もう逃げられない

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00194/20230116235417104445 //////////////////////////////////////////////////////////////// 山岡鉄秀の対外情報戦で勝ち抜けろ! https://foomii.com/00194 //////////////////////////////////////////////////////////////// 日本の安全保障政策を転換する防衛三文書の閣議決定を画期的だと評価する声があります。増税や水増しの問題は横に置けば、確かにこれまで受け身一辺倒だった日本の安全保障政策をより積極的なものに再定義したことは意味があると思います。 昭和51年(1976)の防衛大綱では、基盤的防衛力が防衛力整備に関する基本概念として示されました。日本が軍事力の空白を作って、地域の不安定要因とならないように、独立国として必要最小限の防衛力を保有する、という消極的な考え方です。基本的に、日本が外国から大規模な侵略を受けることはないという前提で成り立っています。この構想が長く続きましたが、平成22年(2010)の防衛大綱改定で、中国の軍事力増強と覇権的政策に対応する為に、機動性・即応性を重視した動的防衛力の構築を目指す方針に変更されました。 そして今回は、敵基地反撃能力まで視野に入れた、より強力な抑止力を目指す方針に再度変更されたわけです。保守派にしてみれば、やっとここまで辿り着いたという気持ちですから、これを実行した岸田首相を評価して持ち上げる声も聞こえます。しかし、それは甘いと言わざるを得ません。なぜならば、非核三原則と専守防衛は堅持すると明記してあるからです。日本が独立後70年間に渡って続けて来た国防のフレームワークが変わらないのであれば、残念ながら少々軍備を増強しても今日本が直面する問題の根本的解決は不可能です。 日本が堅持して来た国防のフレームワークとは何でしょうか?基盤的とか動的とか言葉を変えても、基本的には安全保障、すなわち軍備はアメリカに任せ、自分たちは経済活動に専念して、経済的発展を目指すという戦略です。NHKの土曜ドラマスペシャルで、「負けて、勝つ ~戦後を創った男・吉田茂~」という番組がありました。渡辺謙さんが主役で、2012年9月8日から5回連続で放送されました。内容は、総理大臣になった元外務官僚の吉田茂がマッカーサーが率いる進駐軍と外交で対等に渡り合って戦後の日本の基本路線を作り出すという内容です。俳優が渡辺謙さんなので、吉田茂がやたら格好良く描かれていました。 しかし、実際に吉田茂がやったことは、米軍の恒久的駐留を認めることで、日本占領を固定し、日本を永久にアメリカの属国に留めおくことでした。国際政治学者の伊藤貫氏によると、 日本に上陸したマッカーサーは駐英大使を務めた吉田茂が英語に堪能だと思い込んで、二人だけで話そうとしましたが、吉田の英語力があまりにも低かったので、慌てて日系人の通訳を呼びつけたというエピソードがあるそうです。そんな吉田はマッカーサーを崇拝し、完全に服従していたのが事実で、ドラマとはえらい違いのようです。 ある意味吉田の狙いは当たり、日本は経済活動に全精力をつぎ込んで、驚異的な経済復興を遂げます。戦後たった19年でオリンピックまで開催したのですから驚きです。ソ連との冷戦はありましたが、世界最強のアメリカ軍が全土に基地を持って駐留しているのですから、まともに攻めて来る国があるわけがありません。日本はアメリカ帝国の庇護の下で、繁栄を極めました。しかし、その一方で日本は完全にアメリカの属国になっていました。横田基地上空には日本の航空機が飛べないゾーンがあり、アメリカの大統領は直接横田基地から日本に入ります。日本史の教科書は戦後の部分を書き換える必要があります。日本は1951年のサンフランシスコ講和条約で独立したのではなく、日米安全保障条約の下で、アメリカの保護国(属国)として生きる道を選んだと記述されるべきです。
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