… … …(記事全文2,309文字)昨年の自由民主党の総裁選の折り,その有力候補の1人であった小泉進次郎氏は,出馬表明と同時に,高らかに宣言したのが「ライドシェアの完全解禁」であった.彼が出馬会見で配った資料には「聖域無き規制改革」という大項目があるのだがその「一丁目一番地」に書かれているのがこのライドシェアだ.
ここで進次郎氏がイメージしているライドシェアというのは,ホテル業界における「民泊」と同様に,「一般のドライバーが自分持ちのクルマを使って,タクシービジネスをする」という,俗に「白タク」と呼ばれているものと同じだ.進次郎氏はこの「白タク」を日本でも全面解禁しようと声高に主張したのだ.
総理になっていの一番にやるのが「白タクの全面解禁」だと鼻息荒く主張するというこの進次郎氏の態度に,違和感を持った方も少なくないだろう.
無論,彼がイメージしているのは,海外ではウーバーという大企業が展開している,スマホで予約等ができる“スマート”な白タクシステムであり,それを日本にも普及したいという素朴な話しだと理解することもできるし,彼自身が今,超党派のライドシェア勉強会の会長だから総理にやれば実現するのだと主張するのも理解できなくもない.しかしいくらなんでもこの程度の話が「改革の本丸」に位置づけられているのはかなり「異様」な状況だ.
例えば父親の小泉純一郎氏が改革の本丸に位置づけていた「郵政民営化」は,全国津々浦々に郵便・郵貯ネットワークを持つ郵政省という国の機関を丸々民営化しようという非常に大きな話で,そのスケール感においてスマホアプリを使った「白タクの解禁」の話とは雲泥の差がある.たとえば「ゆうちょ」の総資産は230兆円以上もである一方,タクシーマーケットは年間約1.6兆円程度に過ぎない.
だから進次郎氏がわざわざこんな「マイナー」なライドシェア解禁を「改革の本丸」に据えるのには,それなりの理由が必要だということとなろう.
そもそも彼は…
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