… … …(記事全文3,055文字)先週土曜日,当方が出演しております大阪の朝日放送のテレビ番組『正義のミカタ』にて,七夕に投開票されました東京都知事選挙がテーマとなりました.
その中で,当方は,次のように発言しました.
『今回の石丸(伸二)さんがどうだとか、小池さんがどうだとかありますけど、この結果を受けて本当に日本の民主主義は危機の真っただ中で、日本の行く末は極めて暗いなと思わざるを得ない結果だと思います.
選挙というのはわれわれの国のリーダー、地域のリーダーを選ぶ。言ってみれば飛行機のパイロットを選ぶような仕事。だからその人が変な人だったら墜落して死んじゃったりするわけですよ。だからすごい真剣なものなんですけど、ここまで真剣みがなくなったかと.
首長、政治家はその地域等を豊かにすることが上手な人,国民を幸せにすることが得意な人が選ばれるべきです.しかしそれとは無関係に、選挙が得意なやつが票を集めるような選挙になってるんですよ。これはね、はっきり言って、ありていに申し上げますが、詐欺と同じです。
『これ、ええで』て言って、全然アカンもの買わせるという話ですから。本当はすごくいい物を『いいよ』とちゃんと宣伝してくれる人のを買わないといけないのに、選挙が上手やというだけで選ばれるような時代になったら、その国は滅びるしかない』
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/309295
何度読み返しても,訂正の必要の無い,当たり前の見解です.賛同できない理性的な人なんて,日本には一人もいないだろうと確信します.
あわせて当方は,『石丸さんに至ってはTikTokじゃないですか。演説も聞きましたけど、基本的に政策内容とかではなくて、イメージでおっしゃってるので、ほとんど人気投票に近くなっていってる。そういう戦略を取ったんです。従ってこれは、民主主義の制度を根底から破壊するような選挙が行われたわけです』と申し上げました.
これについても当方は,「石丸氏の選挙期間中の演説」を耳にした理性的な方ならば誰もが賛同されるであろうと,当方は確信しています.
…が,石丸氏の評価はさておき,平成期以降の日本の選挙では,ここで指摘した,
『詐欺』
が横行しているのです.
これについて,今度の東京ホンマもん教室で取り上げる予定なのですが,今日は,そのフリップを作成していましたので,その一部をご紹介さし上げたいと思います.
今度の東京ホンマもん教室では,19世紀末期にフランスの社会心理学者ル・ボンが出版した『群集心理』の以下の一文を取り上げました.
「群集の受容能力は非常に限られており、
理解力は小さいが,忘却力は大きい」
要するに近代以降,コミュニティから切り離され,孤立化した「砂粒」の様が人々は「群集」化してしまった,と論じたルボンは,その群集の特徴として,物事を深く理解することができないばかりか,なにもかもあっという間に「忘れてしまう」という特徴があると指摘したわけです.
この一言を紹介しながら,次のようなフリップを作成しました.
つまり,「群集」というものは理解力が乏しいが故に,物事を深く考えることができないために,
「郵政民営化が必要ダー」
「大阪都構想ダ―」
「豊洲市場は問題ダー」
等とマスメディアで権威者が騒ぎ立てれば,その根拠をしっかり考えずに
「そうだそうだ!!」
と賛同してしまう…が,しばらくすると,
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)