… … …(記事全文3,609文字)誠に残念ながら、当方の京都大学レジリエンス実践ユニットの同僚である、ウイルス学がご専門の宮沢孝幸准教授が、来年に京都大学を退職することとなりました。
本来退職予定ではない時期の退職ですので、大変に驚いたのですが、その背景について、先日開催されたレジリエンス実戦ユニット主催の「京都大学レジリエンスフェスティバル」にて、当方と宮沢先生が対談する箇所がありましたので、その箇所をご紹介します。
宮沢先生の登壇シーンは、Youtubeに掲載するとたちまち削除されてしまうことは確実ですので、取り急ぎ、下記にて文字起こしの形でご紹介差し上げます。
是非、ご一読下さい。
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宮沢 私は本当に研究が大好きで一生懸命にウイルス研究に取り組んできました。最初は東京大学にいたので、そのまま頑張れば、いずれは東京大学の教授になれたかもしれません。でも東京大学にいたら研究がおろそかになってしまうと思って、3年で辞めたんです。それで、真実を追求する場所だと思い、非常に憧れて京都大学に来たのでした。
ところが、最近は京都大学に対しても失望に継ぐ失望、絶望です。私たち研究者はデータが命で、それに基づいて正しいことは「正しい」、間違っていることは「間違っている」と言わなければなりません。だから、データを歪めてしまうような勢力を大学に入れないでほしい。
私は、京都大学は本当に最後の砦だと思っていたんですよ。しかし京都大学も医学部を中心に、そうした勢力に相当に侵されてしまいました。
藤井 医学部以外が滅茶苦茶立派だとは思いませんが、正直申しまして申し訳ないんですが、私の認識のなかでは京都大学という存在に医学部は入らないんです。これに同意する京都大学卒業の人たちもたぶんすごく多いと思います。医学部には単科大学みたいなところがあって、やはりカラーが違うんですね。医学部は京都大学の自由の学風とはほぼ関係ありません。
宮沢 私も京都大学に来て医学部と関わるのがずっと嫌でした。昔から思っていたのは全ての大学から医学部という存在を外すべきだということです。医学部は専門学校に戻したほうがいい。真理探求をするのが大学なんですから、真理探求を歪める勢力を入れてはいけません。
藤井 そもそも医学部には、自由の学風とかアカデミズムがあるようには思えません。かねてからそう思っていましたが、今日の宮沢さんのお話をお聞きしてさらにその気持ちが強くなりましたね…
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)