… … …(記事全文2,493文字)今、世間を騒がせているのが、自民党の各派閥のパーティー収入の未記載問題。これ何が問題かというと、派閥がパーティをやって、そのパーティー券を各議員が売りさばくのですが、
第一に、その売上げが、派閥の経理でしっかり記録されておらず、裏金化しているという点。
第二に、その裏金の一部が、各議員の裏金になっているという点。
本来なら、20万円を超えていたら記載しなあかんのに、記載していない。
この「未記載」が、政治資金規正法の法律違反だ、というので、大騒ぎになっているわけです。
最初にいわれたのが…
・清和政策研究会(安倍派)約1900万円、
・志帥会(二階派)が約900万円、
・平成研究会(茂木派)が約600万円、
・志公会(麻生派)が約400万円、
・宏池政策研究会(岸田派)が約200万円。
というものでしたが、この金額も日増しに拡大している様子。
「逮捕者」が出るのは確実だっていうことで、岸田総理も大慌てで「蜥蜴の尻尾切り」を日々、続けています。
特に、安倍派に対する追求が激しく、
安倍は五人衆と言われた、
松野官房長官
萩生田政調会
西村経産大臣
高木国対委員長
世耕参院幹事長
全員が全て、キックバックで裏金を作っていた…ということが報道され、彼ら「全員」が、それぞれの政権要職を「更迭」になる、との見通しです。
また、安倍派の
大野参院議員が5千万円超
池田衆院議員が4千万円超
谷川衆院議員が4千万円超
の裏金をそれぞれ作っていたということも報道されています。
…というのが、一般的な報道内容をまとめたものです。
多くの国民は、「何だか自民党が凄いワルイコトしてる!」という風にイメージで思っていると思われますが、一体何がどう悪いのか、いまいち、理解していないんではないかと思います。
こういう問題は、「法的」に一体何が問題なのか?っていう話しと、「道義的」に一体何が問題なのか、っていう話しを分けて考えないと、事の本質を見誤る事になります。
まず、「法的」に一体何が問題なのかというと、彼らが「政治資金規正法」という法律で定められている「20万円以上の政治献金(この場合はパーティ券収入)を、正式に記載し、万人が見られるようにオープンにしておかねばならない」というルールに違反し、20万円以上の収入があったのに、正式に記載しなかった、という事が問題になっているのです。
つまり、ただ単に、「記載しているべきものを、記載していなかった」という事が問題となっているのです。
だから、こういう問題は、場合によっては、「記載漏れがありました、僕はちゃんとやれって言ってたのに、秘書が間違えて書かなかったんです…ごめんなさい。だから、きちんと記載するように訂正しておきます」というだけで、お咎めなしになる可能性があるわけです。
というか、そうやって言い逃れし、無罪放免となってきたケースは過去に山ほどあったのです。
藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)