ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00160/2020012413361962998 //////////////////////////////////////////////////////////////// 歴史の視点から世の中を観る 歴史ナビゲーター井上政典のウェブマガジン https://foomii.com/00160 //////////////////////////////////////////////////////////////// 意外史講座 第百三十五講 キンペイがインペイ? 昨年末からCHINAの真ん中に位置する都市武漢で新型コロナウィルス(2019-nCoV)通称「武漢肺炎」が発生していました。武漢市は湖北省の都市で長江(揚子江)の流域にあり、日華事変の時は蒋介石が首都南京を放棄し、重慶に移すまでの短い期間でしたが、この武漢が国民党政府の首都として使っていました。 古くは殷墟があり、三国志時代は劉備を保護した荊州の劉表の支配地で、武昌という名前で知られています。その後、漢口、武昌、漢陽という三つの都市が明代から鼎立していましたが、1926年10月に三つの都市が合併して武漢になりました。長江(揚子江)という巨大な水路があり、漢人支配地のへそにあたり、交通の要衝として戦略的価値も高く、1938年には日本軍がここを占領しています。 現在の人口は1100万人という東京と同じくらいの規模があり、ただの地方の田舎町とは違います。古くから発展し、多くの人が住み、そしてここをめぐって多くの人の血が流れた場所なのです。当然、都市機能も備え、多くの人が生活を営んでいる場所で、新型のコロナウィルスが見つかったということが、あの国がどれだけ異形な国なのかということがわかります。 日本で考えれば、東北や九州の寒村で奇病が発生したのとはわけが違います。大阪で奇病が発生し、多くの人たちがひしめくように暮らしているために、感染が急速に広がっているようなものです。地理的によくわからない外国のことではなかなか身近にならないでしょうが、大阪に例えれば、すごく容易に理解できると思います。 名古屋や大阪で新型の肺炎が流行し始めたと想像してみてください。満員電車は当たり前、一番の繁華街である梅田付近には大勢の人間が大きな声でしゃべっています。たこ焼きの屋台に行列ができ、東京と違ってお店の人やお客さん気軽に会話しながら酒を飲んだり、物を食べたりするところです。そこに感染力が強い新型肺炎が飛沫感染で広がったとしたらどうなるでしょう。現在は一月温かくなる3月までは2か月ほどあり、体力の弱い子供や高齢者は医療的対策が確立していない段階でいったいどうなるのでしょう。 大阪だとすると、そこには近隣つまり神戸や京都からも普通に人が流入してくるし、多くの観光客も国内外を問わずに入ってきます。つまりたくさんの観光客やビジネスマンによって感染がすぐに日本中に広まるのです。 そして運悪く民族の大移動と言われる春節の季節となり、日本の年末年始のように故郷に帰り、家族ともども暖房の効いた閉鎖空間でテレビを見て、食事をするのです。考えただけでも恐ろしいと思いませんか。 だから習近平政権は武漢市を閉鎖しました。テレビを見ると空港はもちろんのこと、高速道路も封鎖しているようです。彼らはこの危機を一番理解しているのです。でも、良くないのはそれを国際社会に伝えないことです。習近平政権内部ではこれを春節の時に野放しにすれば、パンデミックになると理解しているのでしょう。でも、メンツが無くなるのを恐れて国際社会には正確な情報を伝えていません。 評論家の石平氏も交通の要衝である武漢の周りに感染者がいないなんてありえない、政府が隠ぺいしていると断言していました。… … …(記事全文2,081文字)