Foomii(フーミー)

世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

5類移行に反対する - 「コロナ前の日常に戻す」のナンセンス

1月24日にNHKクローズアップ現代でコロナの放送があった。尾身茂らが登場して、政府による「5類移行」を国民に宣撫する内容のものだった。いつもと同じく中身のないくだらない番組だったが、印象に残ったのは、尾身茂がワクチンの効果について消極的な口ぶりを示していた点だ。従来のように、ワクチン接種が必須だから必ず4回5回接種せよと念を押さず、逆に、ワクチンの感染予防の効果が薄れているという言説を一部認めるような発言をしていた。この一週間ほどで、この国のワクチンに対する評価と見方はずいぶん変わったように感じる。mRNAワクチンへの疑念を言えば即座に「陰謀論」のレッテルを貼られ、人格否定されて魔女狩りされる以前の空気ではなくなった。ワクチン不信の立場が市民権を持つようになった。 同じ24日の報道で、米FDAがコロナワクチン接種を「原則年1回」にするという記事が出た。数か月間隔をやめて簡略化すると言う。早速、日本政府もすぐに同調追随し、年1回接種への切り替え案の浮上を25日のマスコミ報道で流させている。まさに日米一体。時間差がない。これまでは、FDAとファイザー・モデルナは変異するウィルスの追尾と捕捉に血眼になり、どんどん接種する間隔を狭めることで対策に躍起になってきた。その方式を転換して年1回にすると言う。背景には、ウィルスが弱毒化しているからこれで十分という認識があるのだろうが、果たして本当に防疫効果は大丈夫だろうか。現状、オミ株系統はどんどん変異を続け、スパイク蛋白の形状変化を加速させ、感染力を増している。この措置では、逆に防護側の対抗速度を落とす結果になる。 ■ 「ワクチン離れ」明らか このFDAの方針転換は、ワクチン接種の有効性を絶対的なものとして対策を推進してきたアメリカの姿勢の変化として看て取れる。つまり、FDAやCDCもまた、コロナの変異にワクチン開発が追いつけない限界を認め、白旗を揚げたという真相が窺える。アメリカでも、何度も接種を重ねた者が感染し、また、同じ人間が何度も接種しながら何度も感染を繰り返していて、その事実が次第に明らかになっているのだろう。ワクチンの科学的効力への期待と確信が市民社会の中で薄れ、人々が「ワクチン離れ」した状況になっている。試しにツイッターの検索バーで意地悪な検索をすると、日本のワクチン会場の現在の閑古鳥の様子が分かる。第8波がピークになり、死者数が500人超となった今月中旬も、NHKは接種会場をニュース映像に撮らなかった。接種会場の絵はもう二度とテレビに出ないかもしれない。 前回の記事で、今はコロナの治療薬がない2年前に戻ったと書いたが、結局、ワクチンの効能も不確かなわけだから、ワクチンも治療薬も両方ないというのが今の真実で、全てが2年前に戻ったことになる。あるのは、単に時間が経ち、世界中に多く感染者を出して弱毒化したかもしれないという、ウィルスの一般法則に照らした楽観的な想定だけである。昨年のWHOはこの希望的観測の立場に流され、テドロスが「終焉が視野に入ってきた」と安易な展望を漏らしていた。だが、中国と日本での年末年始の感染爆発を受け、その態度を修正、「緊急事態」の解除について慎重に臨むという表明を発している。朝令暮改となった。WHOも、CDCも、要するに何もコロナについて分かってないのだ。未だに翻弄され、右往左往しているに過ぎない。日本政府は、右往左往するWHOと米国政府に追従しているだけだ。
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