■マスコミは相変わらずCIA御用オールスターズが出ずっぱりで、戦争プロパガンダのシャワーを切れ目なく撒いている。一方、ネットの言論空間の方は、右と左が斉唱で「どっちもどっち論」叩きに血道を上げ、「ロシアを一方的に非難せよ」と咆吼の声を上げている。ヒステリックな絶叫の嵐が一段とボルテージを上げている。ロシア側の言い分に耳を傾けるな、正義は一つだ、一億火の玉だと、まるで戦前日本のような集団狂気への盲従が半強制されている。 「ロシアを一方的に非難せよ」という主張は、要するに、ウクライナ・西側のプロパガンダを全て真実だと信じ、それに疑念を抱くなということだ。マスコミが散布し放射する戦争プロパガンダを鵜呑みにし、ロシア寄りの言論や情報は一切排除せよという意味だ、各自が競馬の遮眼革を装着した精神状態になれと説き、ロシアに対して不寛容に徹せよと叫号している。そんな暴言を左翼リベラルの国会議員が吐き散らかして扇動している。リベラルとは寛容の意味ではなかったのか。寛容がリベラルの本質ではなかったのか。 ■この戦争がロシアの侵略戦争であり、国連憲章違反であり、国際法上正当化できる余地はないとする見地は、私も同じであり、それは何度も述べてきた。法的なロシアの立場はギルティで、留保両論はなく、すでに決定済みの事項である。だが、刑事裁判で有罪になった被告人にも、犯した暴行傷害事件において動機と理由があり、裁判の審理過程で斟酌され、量刑の加減に響くことは屡々ある。親の介護に疲れて魔が差した事件では、殺人犯である子に温情判決が下される場合も多い。 「ロシアを一方的に非難せよ」という主張は、首を絞めて親を殺した子は極悪の殺人鬼であり、犯行理由の説明に耳を貸す必要は寸毫もないと言っているのと同じだ。親の介護で疲れるのは誰でも同じで、そこに惻隠の情など無用と切り捨てているのと同じである。今回、ロシアにも言い分がある。この侵略戦争の背景と構図がある。まず、マスコミと右翼左翼は、この侵略戦争が不意に突然始まったかのように説明し、そのフィクションを前提に議論するが、実際には昨年10月にゼレンスキー政権がドローン攻撃で火蓋を切っている。… … …(記事全文3,674文字)