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山田順の「週刊:未来地図」
No.848 2026/09/01
急成長の「予測市場」で見る中間選挙
トランプ“レームダック”の2年間への懸念
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高市政権が発足してからずっと経済運営を見てきたが、絶望的である。これではどうやっても日本経済はよくならない。で、頼みはアメリカ。トランプが失権して、これ以上、日本からカネを巻き上げるのをやめて欲しいと願うが、そんなことは起こるだろうか?
注目は11月に迫った中間選挙。下院での民主党勝利は確実だが、上院は? すでに、民主党圧勝の場合でも、「トランプ弾劾はほぼない」は、以前のメルマガで配信した。
今回は、「予測市場」(プレディクションマーケット)の動向を中心にして、選挙と選挙後を展望してみることにしたい。
[目次] ──────────────
■「予測市場」といってもギャンブルとほぼ同じ
■「Yes」か「No」でベットしポジション売買が可能
■「賭博ではないか」問題と「インサイダー疑惑」
■リアルタイムで選挙区の状況がわかるサイト開設
■民主党は下院を制し、上院も過半数を取れそう
■トランプ弾劾、レームダック化への3つのベット
■レームダック後のトランプはどうなるのか?
■大統領令を無効にはできないが、対抗策はある
■外交だけが残ったトランプにとって日本はいいカモ
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■「予測市場」といってもギャンブルとほぼ同じ
日本人には馴染みが薄い米国「予測市場」(prediction market:プレディクションマーケット)だが、ここにきて急拡大している。マーケットに示された「予測テーマ」(メニュー)に、いくらベットするかというがギャンブルに過ぎないが、その結果を金融機関や大企業が意思決定の根拠に採用し出したので無視できなくなった。
私に言わせれば、英国のブックメーカーとさほど変わらない。ただ、予測市場では、胴元は手数料だけのビジネスで、賭けは参加者(プレーヤー)同士が行う。これに対して、英国のブックメーカーは、胴元がオッズを決め、それに対してプレーヤーが賭ける。
そのため、米国の予測市場は、商品先物取引委員会(CFTC)の管理下に置かれ、金融規制の枠組みの下で「イベント契約(デリバティブ)」の取引として扱われている。一方、英国ではギャンブルは合法だから、こちらは専用の賭博免許に基づく管理の下で行われている。
とまあ、違いはあるが、未来予測そのものに不確実性があるだけに、それに賭けるのは投資ではなくギャンブルに決まっている。
■「Yes」か「No」でベットしポジション売買が可能
では、米国の予測市場では、具体的にどんなベッティングが行われているのか?
予測市場には、現在、多くのプラットフォームがあるが、米国では2つのプラットフォーム、「Polymarket」(ポリマーケット)と「Kalshi」(カルシ)が主流で、そこに資金が集中している。
賭けに参加したい者は、まず、暗号資産やメールアドレスを使ってプラットフォームに口座を開設し、証拠金や暗号資産を入金する。そうして、賭けたい「予測テーマ」(たとえば「トランプは2026年末までに弾劾されるのか」など)に、「Yes」か「No」のシェア価格に応じてベットする。
シェア価格は、0ドルから1ドルの間で、日々、変動する。たとえば、シェア価格が0.70ドルなら、確率が70%と見られていることを示す。予測テーマの結果が確定した場合、的中したシェアは1ドルになり、外れたシェアは0ドルになる。
ただ、予測市場の最大の特徴は、結果が確定するまでの間に、価格変動に合わせて途中でポジションを売って利益確定(取引)できることだ。この点で、ブッメーカーのベッティングとは違う。
■「賭博ではないか」問題と「インサイダー疑惑」
予測市場が人気を集めるにつれ、問題が発生している。一つは、ベッティング行為そのものの問題化で、現在、訴訟に発展している州もある。
プラットフォームが提供する「スポーツイベント契約」などが無認可のスポーツ賭博(ギャンブル)に該当するのではないかと、司法当局が規制権限を認めるような判断を下したからだ。
たとえば、コネティカット州の州当局は「実態は違法なスポーツ賭博と区別がつかない」として、州のギャンブル規制法に従うべきだと、業務停止や差し止めを求める訴訟を起こしている。
もう一つの問題は、インサイダー取引疑惑である。これは、ホワイトハウスのプロンプター操作員(演説原稿担当)がカルシで10万ドルを稼いだことが発覚し、休職処分が下されたことで問題化した。
なにしろ、カルシの顧問(アドバイザー)には、トランプの長男ドナルド・トランプ・ジュニアが就任している。また、カルシはトランプ政権の関係者や元幹部を相次いで採用し、IPOに向けた動きを活発に行なっているのだ。
■リアルタイムで選挙区の状況がわかるサイト開設
そんなカルシだが、「予測テーマ」で出る数値は、かなりの精度があるとされ、世論調査の数値よりも尊重されている。さすがのトランプも、投資家(プレーヤー)がカネを賭ける数値を操作できないだろう。イラン戦争での“ぐるぐる発言”(日替わり発言)で、株価を上下させたようには行かない。
カルシは、7月に中間選挙に向けたリアルタイム勝率確認機能サイト「Midterms Hub」を公開した。以来、選挙を巡る賭け金は急増しており、注目度も増している。
「Midterms Hub」→
https://kalshi.com/category/elections/midterms
「Midterms Hub」では、中間選挙に向けて、さまざまな「予測テーマ」(メニュー)を用意している。上院、下院、州知事選などの個別選挙区における勝率や予測価格を国全体の地図上で表示している。これにより、プレーヤーがどのような結果を予想しているかを一覧できる。
さらに、 世論調査の平均値も併せて表示されているので、予測市場の確率と実際の世論調査の結果を比較できるようになっている。また、連邦選挙委員会(FEC)が公表する候補者ごとの最新の資金調達報告や、各メディアが発信する選挙がらみのニュース・分析記事もまとめて閲覧できるようになっている。
