━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/07/24 欧州の金融不安が残存する二つの理由 第295号 ──────────────────────────────────── ユーロの下落が続いている。 日本円の対ユーロレートは95円台を割り込み、94円台に突入した。 2000年10月に記録した1ユーロ=88.8円に接近しつつある。 2008年に深刻化したサブプライム金融危機。このなかで、ユーロの大暴落 が始まった。 2000年10月から2008年7月までの8年間は、文字通りのユーロ高の 時代だった。世界の投資資金がユーロに吸い寄せられた。その結果として、2 008年7月ユーロは対円でも1ユーロ=170円を記録した。 2000年から2008年までのユーロ高の時代のあと、2008年7月以降、 ユーロが暴落に転じた。円の対ユーロでも急騰である。 2008年7月から4年の時間が経過したが、このなかで、日本円の対ユーロ レートは1ユーロ=94円台にまで急騰して現在に至っている。 ここで興味深いことは、日本の株価が円の対ユーロレート変動と、驚くほど酷 似した推移を示してきたことである。 『金利・為替・株価特報』では、2009年年初以降、この点を指摘し続けて きた。 日本の経済・株価の低迷が持続しているが、そのひとつの断面として、日本円 の上昇、急激な円高を見落とせない。 もちろん、日本経済に与える影響を考える際には、円ドルレートの変動も注視 しなければならない。 円ドルレートは2007年6月の1ドル=124円から趨勢的に円高方向に変 化し、昨年10月に1ドル=75円台を記録したのち、現在も1ドル=78円 台で推移している。 2003年から2007年にかけて、日本経済は極めて緩やかな経済改善の道 を進んだ。小泉政権が無茶な緊縮財政政策を強行したために、日本経済が無残 に破壊されてしまったのが2003年だった。 小泉竹中政権は「大銀行もつぶす」との風説を流布して株価暴落を誘導した。 この政策誘導によって、日本の株価や不動産価格は大暴落を演じた。… … …(記事全文4,567文字)
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植草一秀(政治経済学者)