━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2012/07/25 格差是正・共生社会構築に逆行する消費大増税 第296号 ──────────────────────────────────── 消費税問題について、詳細な分析を行い、多くの著書も執筆されているジャー ナリストの斎藤貴男氏と会談し、消費税の問題について考察を深めている。 このなかで興味深いお話を聞いた。 かつて政府税調会長を務めていた加藤寛氏の発言だ。 加藤寛氏は消費増税推進論者の一人だが、加藤氏は「直間比率の是正」を消費 増税の理由としてあげていた。 ところが、大蔵省、財務省から申し入れがあり、「直間比率の是正」ではなく 「財政危機」だと主張していただきたいと。 これに対して加藤寛氏は反論した。 日本は財政危機の状況にはない。 日本政府の長期債務900兆円のうち、200兆円が地方の債務、250兆円 が建設国債、約400兆円が赤字国債である。 ひと口に900兆円の長期債務と言っても、その中身にはかなり性格の異なる ものが存在する。 加藤氏は、本当の意味で問題のある債務はさほど大きくなく、日本が財政危機 にあるというのは正しくないと主張したとのことだ。 この点について簡単に補足しておく。 地方の債務、地方債が200兆円あるが、地方債は発行の際に厳しいチェック が行われている。資金返済が確実な事業の財源調達にしか基本的に地方債の発 行は認められていない。 つまり、地方債200兆円に債務不履行のリスクはほとんど存在しない。 建設国債が250兆円あるが、これは、家計で言えば住宅ローンと同じような ものだ。 資金の返済計画さえしっかりと構築されていれば、住宅ローンを組んだとして も、借り手が破綻の危機にあるとは言われない。 資産である住宅の時価評価の変動にもよるが、借金に見合う資産が存在してお… … …(記事全文5,488文字)
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植草一秀(政治経済学者)