━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/12/24 不透明・不公正な電力料金引上げをを断固阻止 第85号 ──────────────────────────────────── 2011年3月11日の地震・津波によって、福島第一原発が人類史上最悪 レベルの核事故を発生させた。 事故発生原因は、事故発生から9ヵ月以上経過したいまでもまだ確定されて いない。津波による電源喪失以前に、地震による揺れで電源を喪失していたと の疑いも払拭されていない。 福島原発を襲った津波の高さは約14メートルと推定されている。 福島原発では5.7メートルの高さの津波までは想定していたが、それ以上 の高さを想定していなかった。 原子力損害賠償法の第3条に次の条文がある。 第3条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えた ときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに 任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生 じたものであるときは、この限りでない。 法律は原子力事故が発生した場合、当該事業者に損害賠償責任を負わせるこ とを定めている。 事業者が免責される可能性があるのは、 「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものである とき」 に限られる。 東電の責任を問う際に、まず問題になったのは、今回の地震、津波が「異常 に巨大な天災地変」に該当するのかという点だった。 しかし、東電の福島原発については、2006年から再三にわたり、津波対 策の不備が強く警告されていた。その理由は、東北地方の太平洋岸には、巨大 津波が一定の再来間隔で襲来していることが科学的検証によって明らかにされ てきたからである。 2006年3月1日には、日本共産党の国会議員で京都大学原子核工学科卒 業の吉井英勝氏が、福島第一原子力発電所を含む全国43基の原子力発電所に おける津波対策の不備を指摘し、冷却水喪失による炉心溶融の危険性を警告し た。 また、2008年には独立行政法人産業技術総合研究所と東京大学地震研究… … …(記事全文6,111文字)
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植草一秀(政治経済学者)