━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/11/08 野田佳彦氏は自身の暴走を止められるか 第39号 ──────────────────────────────────── TPPに関する論議は、11月12~13日のAPECハワイ首脳会議に向 けての日本の対応ということで言えば、国民的論議の決着はついた。 自民党も党としてTPP交渉参加への反対を正式に決めた。 国民新党、公明党、共産党、社民党、新党日本が表明しており、ここに自民 党が足並みをそろえた。 民主党でも半数以上の国会議員が反対の意向を表明している。 賛成意見を表明しているのは「みんなの党」だけである。 野田佳彦氏は日本国民の総意を代表して、TPP交渉への不参加を表明しな ければならない。 反対派が、自由貿易に反対しているのかというとそうではない。 自由貿易に反対している政党はない。 TPP反対は自由貿易に反対するものではない。 何に反対するものであるのか。 それは、TPPが米国の米国による米国のための制度である可能性が高く、 日本の国益に反するからである。 TPP9ヵ国には米国以外の国も入っている。しかし、米国と敵対している 国はない。ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、 オーストラリア、ベトナム、ペルー、アメリカのうち、アメリカを除けば、す べてが農産物、鉱産物の輸出国である。工業製品の輸出国は日本と米国しかな い。 TPPは「例外のない関税撤廃」を原則とする多国間協定である。「例外の ない関税撤廃」の原則に同意できなければ、交渉に参加することもできない。 日本は工業製品の輸出国であるが、日本の工業製品輸出拡大の余地がある国 は米国しかない。しかし、米国の関税率はすでに極めて低く、米国の工業製品 関税が撤廃されても得るところは少ない。 他方、農産物の関税率が撤廃されれば、日本には海外の安価な農産物が一斉 に流入することになる。日本の農業が立ち行かなくなることは火を見るよりも… … …(記事全文4,582文字)
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