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吉田繁治 (経営コンサルタント )

吉田繁治

ビジネス知識源プレミアム:増刊:トランプ政権の2025年資金繰りに着目しよう
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<Vol.1530:増刊:トランプ政権の2025年資金繰りに着目しよう>
2025年4月18日: 世界金融・経済の基底に米国の2025年危機がある


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著者:Systems Research Ltd. Consultant吉田繁治



「トランプ関税」が世界を揺らしています。「自由貿易の流れ」とは反対の高い輸入関税を、米国がなぜ課すのか。日本のメディアでは、およそ「身勝手なトランプ独裁」とさていますが、その裏に「語られない何」があるのか。

原因は、2025年、26年の連邦政府が直面する「国債の満期8兆ドル、財政赤字2兆ドル、国債の利払い1兆ドルから来る資金繰り難」でしょう。この点が、ほとんど報じられません。2025年度は、既発債の借り換え債と、新しい財政赤字分で10兆ドル(1450兆円)の米国債を、世界の債券市場で金利を高騰させずにスムーズに売らないと、部分破産の危機になるのです。

日本の枢軸は、「日米同盟」と言われています。
その内容は、
i)国土の安全保障での、軍事面の「安全保障条約」だけでなく、
ii)日本が米国債・米国株・ドルを買って、マネーを提供する「通貨同盟」の2面があります。

通貨同盟は「暗黙のもの」なので、条約はありません。
米国からの要請に日本(政府、金融機関、輸出企業)が応じてきたのです。

2025年、26年には、トランプの連邦政府が「資金繰りの危機(=ドル危機)」を迎えます。これを、実証的に示します。



<Vol.1530:増刊:トランプ政権の2025年資金繰りに着目しよう>
2025年4月18日: 世界金融・経済の基底に米国の2025年危機がある

【目次】
■1.2025年の連邦政府の資金繰り
■2.家業の世帯への例え
■3.2025年の米国の資金繰り計算
■4.2025年4月に、米国政府の予期していない事件が起こった
■5.利下げと、新発国債売りの矛盾
【後記】



■1.2025年の連邦政府の資金繰り

(1)既発の米国債が37兆ドルに達した(GDPの137%)。

(2)2025年度の米国財政は、税収が5兆ドル、財政の支出が7兆ドルであって、2兆ドルの赤字である。イーロン・マスクの政府効率化省による連邦予算の削減は、最大で4000億ドル程度であり、1.6兆ドル(232兆円相当)の財政赤字が2025年、2026年と続く。

(3)2兆ドルの財政赤字のうち軍事費が約9000億ドル、既発国債の利払いが1兆ドルもある(既発の長短国債の平均金利は2.7%)。米国は既発国債の利払いが財政赤字を増やして国債の増発になる「財政のワニの口」にはいった。

(4)2025年度は、37兆ドルの既発国債の満期償還が8兆ドル。26年に約6兆ドルである。バイデン政権のとき(2020-2024)、コロナが引き起こした経済危機に対して、期間が短い国債を4年間で7兆ドル増やし、そのうち5兆ドルをFRBが買って、ドルをばらまいた。米国経済のなかのドル急増から、株価は上がった(S&P500は、2020年以降の5年間で2倍に高騰した)。一方で、2025年の満期返済分8兆ドル、26年は6兆ドルに増えた。

(5)財政が2兆ドルの赤字(=マネー不足)の連邦政府は、
・既発国債の償還のための借り換え債8兆ドルに加えて、
・2025年度の財政赤字分の国債を2兆ドル新規に発行して、内外の金融市場に「現在のドル長期金利4.5%付近を上げないように」売らなければければならない。

・2025年度の米国債の発行は史上最高の10兆ドルになる(1450兆円)。これがスムーズに売れないと、連邦政府は、部分的に破産する。

(注)部分的破産とは、既発国債の償還と利払いを停止し、金融市場を通さず、満期を繰り延べて、長期化した「ゼロクーポン債」に強制的に変えること。ゼロクーポン債は満期まで利払いがない割引債です。例えば30年満期なら、30年の複利を含んで一括償還することを政府が約束する割引債です。50年ゼロクーポン債、100年ゼロクーポン債も想定ができます。

1兆ドルの米国債を、割引金利が5%の50年のゼロクーポン債に切り替えると、その発行額面は「1兆ドル÷(1-0.05)の50乗=1÷0.78=1.28兆ドル」になります。しかし、米国債が長期ゼロクーポン債になると、市場性(市場の金融機関の間で、額面で売買できること)を失って、1/2くらいは無価値になります。

これが、米国債の部分破産、つまり「借金の踏み倒し」です。
飲み屋の借金が100万円あって、50万円しか払えませんから、50万円は手形(30年後の返済数字を書いた紙)で払いますということと同じです。

■2.家業の世帯への例え

家計に例えると、分かりやすくなるでしょう。

(1)家業(法人化していない事業)の世帯に、3.7億円の過去の借金がある。
(2)今年、返済満期が来るものが8000万円である。
(3)今年の収入予定は5000万円であるが、生活費と金利を含む経費の支払いが7000億円ある。2025年の家計は2000万の赤字(収入比28%)である。

〔資金繰り〕返済用に8000万円、赤字補填に2000万円、合計1億円を5%の低い金利で銀行から借りることができないと、破産する。銀行は、収入比で28%が赤字であって、貸し倒れリスクの高い世帯に、5%の、米国では低い金利で1億円を融資するかどうか。こういった問題です。

家計と政府は違う。米国政府にはFRBに国債を買わせて資金繰りをしのぐ方法がある。金利が高くなる銀行から借りる必要はないという方は多いでしょう。もちろんこれも実行できるでしょう。

2013年から、日銀による円国債の大量買いを行ったのが日本です(アベノミクス+菅政権+岸田政権)。残価高1200兆円の国債のうち、575兆円(約50%)は日銀が買い取って、日銀の所有になっています。

(日銀のバランスシート:円国債の所有が575兆円、貸付金96兆円、株ETFが37兆円:総資産=総負債=マネタリーベースの発行額は728兆円:25年4月)
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2025/ac250410.htm

〔円への信用があればできる〕国民の、円への心理的な信用がある間は、円を増刷できます。

しかし、日銀による円国債の大量買いの結果(国債の現金化=マネタイゼーションという)は、円国債の金利を、ゼロにまで人為的に下げた結果としての、円の1/2への下落でした。国内では信用の高い円は、国際的には信用を1/2に失ったのです。

世界の通貨に対する「円の実効レート」は、2012年100→2024年55と45%下がっています。

一方で、財政と貿易がともに赤字通貨のドルは、円がドルを買い支えたため100から135に上がったのです。12年間の「円売り/ドル買い」の超過が円を下げ、ドルを上げてきた原因です
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

2012年11月の、安倍政権の前の「ドル円」は80円台の円高でした。ところが2024年7月と25年1月には約160円。日銀がGDPの1年分に相当する500兆円を増発した1万円の価値は、ドルに対し1/2に下がっていたのです。

(注)2025年1月以降は、ドル信用の低下=ドル安/円高の傾向になり、今日のドル円は142.6円です。日本を含む海外勢が「もっとも信用が高いとされてきたドル国債」を売っているからです。こここそが、米国政府の社長であるトランプが、「米国の資金繰り問題」と認識していることです。

■3.2025年の米国の資金繰り計算

このため政府の税収になる輸入関税を掛けるという(3.2兆ドルの輸入に対して平均25%とすれば、8000億ドル)。

米国の財政赤字は2兆ドルです。イーロン・マスクの高率化省による財政予算カットで最大4000億ドル、関税で8000億ドルになれば、2兆ドルの連邦財政の赤字は、「2兆ドル-(4000億ドル+8000億ドル)=8000億ドル」に減ることが想定できます。これが連邦政府の新社長トランプの算段です。

それでも国債の償還満期は8兆ドル分が来ます。

財政の赤字と合わせて8兆8000億ドルの米国債の発行になって、その約40%(3.5兆ドル)は、海外に売らなければならない。海外の買い手では1位EU、2位日本、3位中国です。145%の輸入関税をかけられる中国は、25年4月の米国債入札の姿を現していません。

これが「日本の次いで米国債をもっている中国が米国債を売る」という憶測になったのです。(注)新規発行の国債への入札は、美術品のオークションのように相対(あいたい)で行われます。

■4.2025年4月に、米国政府の予期していない事件が起こった

トランプ関税の詳細が発表された2025年4月には、海外が所有するドル国債が、米国の財政信用への懸念から売られ、
i)ユーロ高、スイスフラン高、円高、
ii)そして、米ドルに対する通貨上昇の約2倍の、金価格の高騰になっています。
(世界の為替レートの変動)
https://nikkei225jp.com/fx/
(金価格の高騰)
https://nikkei225jp.com/oil/

金は、中央銀行の間では「誰の負債でもない本源的な通貨」です。信用通貨(フィアット・マネー)は、それを発行した中央銀行の負債です。

なお各国の国債も、金融市場では、信用通貨と同じように扱われています。

金融理論では「国債の信用=その国の通貨の信用」です。日本では国債と言いますが、英語ではDebt Security=政府負債証券です。信用と訳されるCreditが負債であることと同じです。クレジットカードは決済日までは負債です。

【通貨の信用までの、国債からの系列】
政府の金融的な信用→金利のある国債の発行→中央銀行が国債を買うと信用通貨の増発・・・政府の金融的な信用が根拠であるものが、預金と現金です。

(注)預金は、銀行の信用のものです。銀行が破産したときは、普通、中央銀行が救済するとされています。国民の銀行への信用の根にあるのは、「政府の金融的な信用=国債の信用=通貨の信用」です。

【退任の要求カードを切った】
今日トランプは、FRBの議長パウエルに「退任の要求」をしました(日替わりの政策)。利下げへの要求に応じないからという。FRBによる短期金利の利下げが、米国債市場の長期金利を下げれば、4月は下がっている既発国債の価格は評価が上がります。

◎しかし一方では、「低金利の新規のドル長期債」は、海外に売れにくくなるでしょう。ここにも、「二律背反」があるのです。

日米欧では、ウクライナ戦争のあともっとも景気が低下しているEU(ドイツのGDPは3年連続マイナス)では、ECB(中央銀行)はラガルド総裁が利下げをして、米国債の大量発行を助けています(0.25%引き下げて2.25%)。

■5.利下げと、新発国債売りの矛盾

パウエル氏は、高関税政策が景気悪化を招くリスクに警鐘を鳴らしつつ、早期の利下げには慎重な考えを示唆した。強調したのは、新型コロナウイルス禍で経験した「供給網ショック」が再び起きるリスクだ(日経新聞の記事)

◎世界の産業は、部品・資材の供給で相互に深く結びついています。今度は関税の障壁から、2020年のサプライチェーン・ショックが再来するでしょう。世界のGDPが低下するというショックです。容易に予想される景気悪化に対して、FRBが利下げをしないというのは、FRBの論理矛盾です。

FRBが警戒しているのは、輸入品の高騰による米国のインフレです。しかしこのインフレは需要増からではなく「米国にとっては、高い関税から輸入品価格が上がることからのコストプッシュ・インフレ」です。

米国債の海外購入を顧慮しないなら、利下げが必要です。FRBは「トランプ関税から、高い金利が必要なった海外への新発債の国債売りと、世界景気低下のディレンマ」を抱えています。

一方でトランプは、「2025年の米国景気の低下に対して利下げが必要」と単純に考えているのです。社長(トランプ)と通貨部長(パウエル)の組織内対立です。

FRBが利下げをしても、10年債の金利で決まる米国長期金利は、下がらないと見ています。8.8兆ドル(1276兆円)という歴史上最大のドル新発債の売れ行きが鈍るからです。

2025年から2028年は、国家の資金繰り問題になった米国では、
・国内の景気悪化に対しては、利下げが必要ですが、
・内外の銀行が買う新発債の金利は、ドル金利を上げなければならないのです。

以上の理解は、進んだでしょうか。ここが分かっていないと、トランプとFRBの対立のと関税の意味も分からないでしょう。

【後記】
トランプが、海外がもつ米国債(15兆ドル)を、長期ゼロクーポン債への強制切り替え方法を含んで事実上1/2くらいに無効にする「通貨切り下げ」を奥底で意識していることもあるのかも知れません。

「2025年から2027年までの米連邦政府の資金繰り難」についての、別のテーマになります。(注)「(国際的な合意のない)マー・ア・ラゴ合意(Accord)」にはこれを書いています。

(英語ですが、Google翻訳を使えば、意味のとれる日本語になります)
https://www.nordea.com/en/news/mar-a-lago-accord-explained-a-new-era-for-the-dollar
(この協定は、実行することがムリだとする論評も多い)
https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/unpacking-mar-lago-accord

機会を見て分かり易く解説し、予想します。

いずれにせよ、財務省が持つ「外貨準備」の米国債(1.3兆ドル:今は188兆円の価値がある)を 毎年年30兆円分売って財源にして、消費税(年間25兆円)を撤廃する機会は近づいています。毎日600兆円のドルの売買があるが外為市場では、1か月で2.5兆円(1日当たり1兆円)の米国債の売りは、1/600でしかなく「大海の中のインク」です。ドル安介入には、1日20兆円くらいのドル売りが必要です。

長期ゼロクーポン債への強制切り替えがあったあとは、米国債の売りが難しくなるからです。書籍はアマゾンにあります。トランプ政権の国際的な政策を予想し、昨年11月に書いたものです。負債国家の米国は、海外からの国債買いと株買いで資金繰りをしています。
『失われた1100兆円を奪還せよ!』
(アマゾン↓)
https://x.gd/NvcgH


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