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吉田繁治 (経営コンサルタント )

吉田繁治

ビジネス知識源プレミアム:増刊共通版:金ペッグの暗号通貨(2)
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<1ヶ月にビジネス書5冊を超える知識価値をe-Mailで>
ビジネス知識源プレミアム(660円/月):1519号

<Vol.1519:増刊:金ペッグ暗号通貨(2)>
2025年3月14日:通貨の改革
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著者へのメール    yoshida@cool-knowledge.com
著者:Systems Research Ltd. Consultant吉田繁治



新聞のコラムを眺めていたら、「人間は未来を予想して約束できる」というギリシア哲学の言葉が書かれていました。確かにそうです。

昨日、あるところで予定している講演資料の1ページ目に、以下のように書いていたので、とくにこの言葉が目にとまったのでしょう。

              *
経営は、現在をマネジメントし、未来に投企することです。
企業=未来の業を企てること。

過半の経営者は、いま未来への希望的な観測を失っているように見えます。
1995年から30年も停滞した経済が招いた、普通の心理でしょう。

講演では、10年の、経営計画書の作成の際、
参照すべき、未来の環境条件を示していきます。
社員をひっぱるべき仕事の経営者に必要なことは、
起こったことと過去を肯定し、分析して未来へのチャンスを探すことです。

長期目標をもっていれば、いつまでも続く環境変化のなかに、
今日から実行できるチャンスに、気がつきます。
毎朝これを唱えれば、チャンスのほうから寄ってきます。    
             *

政治、経済、金融、業界、顧客、技術という経営の環境の変化に気がつくのは、自分が長期経営計画の軸を決めているからです。

この点で、10年ローリングの経営計画の作成を薦めています。

ローリングとは、過去の修正が効かない1年を振り返って、毎年、10年計画を作り変えることです。これをずっと続ける。人生の設計では、ライフプランでしょう。1990年までは終身雇用だった日本人のライフプランは、会社でした。しかし会社は永続しないことが明らかになった。会社の平均寿命は30年です。われわれは、個人のライフプランを持たねばならない。

経営計画は、どう変化するか分からない未来を予想して行う約束でしょう。未来は確定していませんが、人間の実行によって変わっていきます。

              *

10年としたのは、自分を振り返ったとき、およそ10年サイクルで、意識はしていなかったのですが変化があったからです。以前、家人が指摘しました。言われてみれば、そうでした。つまり10年は、経験的な時間です。

過ぎさった過去の事実は修正できない。しかし、未来を変えることによって、過去の「事実の意味」は肯定的なものにも修正ができる。

極端な例ですが、トランプは不動産事業では4回破産しています。普通、破産すれば人生が終わる。しかしトランプは、大統領選挙に出て、「過去の事実の意味」を変えたのです。まだない未来が、「過去の事実の意味するもの」を変えるからです。

世界の80億人が、80億種の異なる経済で、思考で、そして生活で、それぞれに未来を予想し、情報を得て判断し、行動しています。日本の国内では「延べ1億2300万人×日」の行動量があるでしょう。

街はすこしずつであっても、人の行動で変化しています。人間と社会は1日で見えませんが、1年では大きな変化を続けています。新聞は、毎朝違うことを報じています。投資家の集合による未来の予想である株価は、日々、大きく動いています。

朝、オーディオをかけると同時に、このサイトを開くのが習慣になっています。世界の数十種の株価、10種の通貨レート、金、原油、穀物などのコモディティ価格、暗号通貨の価格です。金利と不動産は別のサイトです。

20年前、こうした包括的なデータを集めるのは、金融機関以外には難しいことでした。投資家は、少ない情報で予想し、売買を判断していたのです。
https://nikkei225jp.com/nasdaq/

「20ページ+15ページ」くらいのメールマガジンを、1500通(書籍200冊分)は書いてきて思うことは、「環境の変化」は止まらない、世界は毎日、毎週、新しくなっていくことです。1回書くと空っぽになった感じにはなる。しかしたぶん空っぽになるから、新しい情報が入ってきて、知識の概念になっていく。こういった感覚です。書くことは尽きません。材料やテーマに困ることはない。溢れています。

あらゆる場面で、自分の言葉にすればどうなるかを、自分にも見えない頭のなかで唱えています。日常会話がトンチンカンで変なものなると、いつも家人から指摘されます。

この変化のひとつは、「集団的行動や判断における平均への回帰」です。

■〔テーマ1〕 2025年の株価の下落予想と、その根拠

【(1)シラーP/Eでの事例】
平均からかけ離れた変化は、いつかは不明であっても、時間の経過ともに、平均に回帰していく(平均への収束)。これを示す代表的なものは株価では、10年PERのシラーP/Eの、平均への回帰でしょう。
(10年PER:1980-2025)
https://www.multpl.com/shiller-pe

現在、シラーP/Eは34.9倍と、過去の平均の2倍は高い。米国の株価500種は、過去10年平均の純益の将来34.9年分(34.9倍)を、いまの株価に含んでいます。

【(2)株価の根拠】
株価は、
・投資家の集合(集合知という)が、会社の未来の純利益を予想し、
・期待金利(=1年後の予想金利)と利益の実現のリスク率(=期待益回り)で割り引いた現在価値(Net Present Value)です。「現代ファイナンス理論(マイロン・ショールズなど)」は、これを明らかにしています)。

【(3)未来の期待利益を2.9%しか割り引いていない米国の株価】
PER 34.9倍は、株価の期待益回り(=1÷34.9倍=2.9%)逆数です。

〔25年3月の米国株価の、評価水準〕PER34.9倍は、企業の将来純益の累計を、投資家集団は、1年に2.9%の「金利+企業純益の実現リスク率」でしか割り引いていないということを意味しています。

〔基準は平均〕150年の平均では、PERは17倍付近であって、株価の期待益回りは逆数ですから、1÷PER17倍=5.9%あたりです。米国株は、現在過去の平均の2倍は高いということを意味しています。

米国の10年債の金利(長期金利)はいま4.6%です。
これは、
・1年後の100ドルは、「100×(1-0.046)=100×0.954=95.4ドル」である。
・2年後の100ドルは「100×(1-0.046)の2乗=100×0.910=91ドル」でという現在価値です。これが、「将来の、マネー価値の割引現在価値(Net Present Value)」の意味です。

〔原理〕長期金利は、期待インフレ率を反映します。4.6%の期待インフレとは、ドルの1年後の価値(購買力)は4.6%下がり、2年後は9.1%下がることです。

日本では今年はコメが2倍に上がっていますが、これは昨年の1万円の価値が、コメに対しては5000円分に下がったということです。

【(4)未来の利益リスクは評価されず、逆に期待が高い】
シラーP/Eが34.9倍の米国株では、米国株への投資家の集合(主要1億人か?)は、米国企業の未来純益の割引価値を示す株価の期待益回りは、2.9%です。

4.6%の長期金利より、1.7%も低く評価しています。
企業の未来利益の、実現リスクは、全く考慮されていません。

逆に、米国企業は、34.9年先まで、ほぼ未来永久に「純益を1.7%以上伸ばす」と想定されています。これは、現実には、あり得ないことです。

つまり米国の株価は、投資家集団による2倍の過剰期待でバイアス(偏向)がかかった株価です。

【(5)平均への回帰の統計的な原理】
過去150年の平均(未来は平均に回帰)では、シラーP/Eは17.2倍です。

1÷PER17.2倍=株の期待益回りは5.8%です。過去100年の年間の平均金利は、3%付近と見ていいので、「期待益回の5.8%=金利3%+利益実現のリスク率2.8%」あたりだったとしていいしょう。

これが、「株価の理論」から妥当な10年PERであって、平均への回帰が示す株価水準です。計算式があって信頼できる理論は、ツヴィ・ボディ、ロバート・マ─トン、デ─ビッド・クリートンが書いた古典、「現代ファイナンス理論(1999)」でしょう。

このシラーP/Eが、平均の17倍付近だったのは、
(1)リーマン危機のあとの、株価暴落のときでした(2008年9月)。
(2)その前は、1985年のプラザ合意(ドルの1/2への切り下げ)のあと、1ドルが120円だった1987年です。
(3)さらにその前は、金・ドル交換停止(1971年)の2年後の1973年、第一次石油危機の時期でした(原油価格5倍:金価格5倍)。

いずれも世界経済と金融の、150年の平均では16年サイクルの転換期になったときでした。
(再掲:シラーP/E)
https://www.multpl.com/shiller-pe

【(6)今の日米の株価は、過去の平均の2倍も投資家の期待が高い】
以上を総合すれば、「現在の米国株は、いずれの時期かには回帰する平均の約2倍過剰に評価されていて、2倍の高値で投資家から買われている」ということです。(注)日経平均も、米国株と同じです。

日米欧の通貨が大増発(合計1500兆円)された、コロナ危機(2020年)以降の4年で、シラーP/Eは上がり続け、平均の2倍の「過剰な楽観」水準である34.9倍になっています。

原因は2つです。
(1)米国の企業純益に対する配当が45%、自社株買い45%、合計で純益の90%が株価を上げるために使われたこと(2024年)。

日本企業でも、米国にならって、配当が純益の35%、自社株買いが35%、合計の総配当還元率(=総還元性向)は、70%でした(2024年)
(米国:自社株買い)
https://stock-marketdata.com/buybacks-sp500.html
(日本:総還元性向:2023年)
https://zaimani.com/financial-indicators/total-dividend-payout-ratio/

(2)二番目に、AIと半導体への過剰な期待があることです。

アップルの株価時価総額が3.3兆ドル、マイクロソフト2.8兆ドル、エヌビデア2.6兆ドル、アマゾン2.0兆ドル、メタ1.3兆ドル、アルファベットA+C(Google)が1.9兆ドル、6社の合計は12.6兆ドル(1890兆円:25.03.13)を占めています。
https://www.180.co.jp/world_etf_adr/adr/ranking.htm

日本の上場企業(3958社)の株価時価総額は、6.4兆ドル(960兆円)です。米国のわずか6社で、日本の全社の、株価時価総額の2倍です。
(注)株価の時価総額=1株の株価×発行済みの株数=会社の価値

【(7)アップルの株価の分析】
アップル株の、次期予想純益に対するPERは34倍。これもやはり米国の150年平均の2倍です。

上位6社の株価時価総額の評価は、12.6兆ドル(1890兆円)と日本国のGDPの約3倍です。この株価は、i)高過ぎる総還元性向(90%)と、ii)AIへの過剰な期待から来ています。

〔米国株が今後上がる2つの条件〕
i)米国企業の事業純益の、2024年比の伸び率がさらに上がるともに、
ii)90%という異常な限界値にまで来ている総還元性向が維持されないと、米国の株価は上がりません。

トランプ関税で、米国の物価が上がっていく2025年、2026年にこの2点について、上昇期待が持てるでしょうか。あなたは、どう考えますか?

2025年の世界経済は、減速に向かっています。
企業純益が大きく伸びる環境ではない。
トランプ関税は世界の生産を減らし、米国の物価を上げる要素です。

【(8)2025年のアップル株は、年間下落率33.6%を示している】
世界の時価総額で1位のアップル株は、2025年1月からの2か月で14%下げています(221ドル)。

年率に延長すれば「14%×√6倍=14%×2.4倍=33.6%」の下落であり、暴落の水準です。

現在は、8か月前の、2024年7月の株価(221ドル)に下がっています。
AI期待の急騰が始まったのは、2024年4月の170ドルからでした。

AIへの過剰な心理的期待は、たぶん、すでに剥がれています。
自社株買いも増えない2025年には、急騰の前の170ドルまで下げる可能性がある感じがしています。

24年12月のピーク254ドルからは、84ドル(33%)の下げになり、25年1月からの、2か月の下げの年間延長であるマイナス33.6%と一致します。

コロナ前の2019年、アップルの株価は45ドルでした。5年で5倍に上がっていたのです。

i)アップルの売上は、3年で7%(1年で2.3%)しか増えていません。
ii)事業からの純益も、21年が940億ドル、24年9月期が940億ドルであって3年間、増えていない。

こうした、株価の条件になる基礎数値を知れば、「アップルの株価は、なぜ5年で5倍に高くなったのか?」と、普通の神経の人なら、疑問を抱くはずです。

当方は株を売る証券会社や証券アナリストとは違う、普通の神経です。アップルのPER34倍は、約2倍の、コロナ後金融バブルでしょう。
https://finance.yahoo.co.jp/quote/AAPL

【(9)日経平均のボリンジャーバンド】
2月10日から1か月の日経平均の株価は、3万9000円から3万6300円まで7%下がり(年率換算では7%×√12=7%×2.9倍=マイナス20.3%)、ボリンジャーバンドの2シグマ(確率2.5%:1/40の稀なこと)の下限に張りついています。

これは、2025年の日本の株価も、アップル並みに1/2に下がる可能性を示します。(注)あくまで可能性です。未来は確率です。
(下のグラフのボリンジャーバンド:標準偏差×2倍の幅の線)
https://nikkei225jp.com/chart/

〔2025年末の株価〕「2025年12月末の株価は、日米ともに、30%くらい下がる可能性が高い。時価総額では3000兆円の下落」ということを、本稿の暫定的な結論にします。

9か月後の確率が何%かは、統計的には言えなのです。途中で、政府・中央銀行による株価の下落を防ぐ目的をもった対策があって、企業純益、配当と自社株買いの総還元性向、金利など、株価を作っている「条件の揺らぎ」があるからです。それを入れても、直観では70%でしょうか。

日米欧の株価時価総額で、3000兆円の下落は、機関投資家と個人株主が売らなくても含み損(資産信用の低下)にはなるので、金融危機に至るレベルです。3倍の信用借りのレバレッジで株を売買している機関の1/2は、追い証(マージンコール)の不足から破産するかも知れない。

借入金で行う信用売買の構成比は、株式市場の、日々の総売買の30%~50%です。平均では40%付近です。

◎信用売買で大きな損をする株式市場の20%(5人に1人)の投資家に破産の危機が及ぶのが、2025年の、日米欧の株価30%下落です。

■〔テーマ2〕金ペッグ暗号通貨での、裁定取引についての補い

【(1)国際的な貿易通貨】
貿易は、国対国の商取引です。各国の法で規定されている、信用通貨(ドル、ユーロ、円、人民元、ルーブル)は国際通貨ではない。国籍をもつ通貨です。信用通貨は、本来は「法域(国権である法権力が及ぶ範囲内)」でしか有効ではないものです。

1944年から1971年までは、金本位としたドルを貿易に使う基軸通貨として自由圏(約40か国)が合意していました(ブレトンウッズ体制)。ドルではなく、ドルのバックである金が、実際は国際通貨だったのです。

ところが1971年以降は、金とドルの交換が停止されましたが、ドルは貿易通貨としての支持を受けたままバック資産のない貿易通貨になったのです。

事実上は、原油の購入代金がドルであることをバックしにしたものだったので、「ペトロダラー(石油通貨)」とも言われました。現在も世界貿易は、約60%がドルで行われています。

信用通貨のドル基軸体制が危うくなったのは、東西を分断したウクライナ戦争からです。2022年からは、新たな貿易通貨の模索が世界で始まっていますが、戦後はドルから独立していない通貨である日本の円は、今回もカヤの外です。(中略)

              *

たぶん、2026年から2027年の2年間で、
・米ドルの貿易に使う国際通貨は、「金ペッグの暗号通貨」にされる可能性が高いことを示しました(トランプ政策)。

・次に、イメージがわきにくい「金ペッグの暗号通貨」がどんなものになるかを想定して、今週の木曜日に送った有料版に書きました。

「金本位の通貨」と、「金ペッグの通貨」では、発行元の金準備の形態が違います。金本位の通貨は、1944年から71年の米ドルです。

【(2)金本位のドル:1944-71年】
FRBが1オンス(31.1g)の金を、FRBの窓口で要求があれば35ドルと引き換えに渡すことを約束していたのが金本位のドルです。

当時、米国の中央銀行であるFRBは2万トンの金を持っているとされていましたが、ベトナム戦争で使った戦費(そ総計45兆円)が貿易赤字になり、ドルは貿易黒字になっていていた欧州(ドイツ、フランス、英国、イタリア、日本)に渡ったのです。

欧州(特にド・ゴール将軍のフランス)は受け取ったドルの下落を予想して、貿易黒字のドル(外貨準備)と、金の引き換えを要求しました(1960年代)。FRBは金を欧州に引き渡したため、2万トンとされていたFRBの金(金の所有権者は米財務省)は、1971年には8133トンに減っていました。

このとき、ニクソンは大統領令を出して金とドルの交換を停止したのです(これは、米ドルが犯した金不渡り=約束破りです)。その後2年の「スミソニアン体制」では、金1オンスを42ドルへと20%切り上げて、ドルを20%切り下げました。

ドルを20%切り下げたスミソニアン体制でも、米国は、貿易赤字とドルの一層の下落(=金価格の上昇)を止めることができず、1994年にスミソニアン体制は崩壊して、世界の通貨は通貨価値に金という軸のない「変動相場制」になったのです。

1971年までの「ドル金本位制」では、要求があれば、通貨と金を公定価格で交換可能と約束していました。FRBでは、1年にドルと交換される金の量を予想した上で、金の準備在庫の維持をすることが必要です。

【(3)銀行預金と銀行の信用創造と同じ仕組みが、金本位制】
国民から預金を預かって、預金金利より高い金利のつく債券や貸付金で運用している銀行は、
・今週の預金の引き出し量を予想して、
・総預金量の5%くらいの現金と紙幣を準備(=日銀への準備預金)しておくことと同じものが、金本位制では準備の金です。

金本位制での準備の(隠されていた)金の基準は、FRBの通貨発行量の約10%であって、これが最低資本金とされていたのです。金本位のドルは現物の金と紐付けされているからです。

〔金ペッグのドルになると・・・〕
一方で「金ペッグのドル」は、市場の金価格と一致すると発行元が約束する通貨です。

【(4)裁定取引】
「金ペッグのドル」はペーパー・ゴールドである金ETFの信用と、同じ性格のものです。

〔原理〕金ETFの価格は、「裁定取引」の仕組みによって、現物の金と価格が一致します。ただし、「裁定取引」はやったことがない人がほとんどですから、理解が難しいと思いますので、ここで示します。

裁定取引は、株のETF(グループ株のバスケット)と、現物株のバスケット価格の間で、片時の停止もなく行われています。

日本にも日経225(日経平均)のETF(上場投信)があります。日経平均という会社はない。大手225社の株価を平均化して、日経平均ETFという上場投信の株にしているのです。価格では、日経225社平均株価=日経平均ETFです。

証券の金ETFと、現物の金市場でも裁定取引が働き、金ETFと、金価格は、しばらく時間差をおいて、一致しています。裁定取引は、ETFの発行元が行っているのではなく、世界中の多くの金融機関が行っています。

〔価格差が出たとき〕金ETFの買いが増えてETF市場(電子取引)の価格が、一瞬、1オンス2900ドルに上がったとします。一方で、価格形成が電子取引の証券より遅れることが多い、現物市場の金が、1オンス2850ドルのままだったとします。

金融機関のコンピュータは、リアルタイムで異なる市場をパトロールして、1年24時間、株ETFと株価、金ETFと現物の金の価格差を、観察しています。

〔コンピュータ売買〕2900ドルに上がった金ETFを売って(ETFは少し下がる)、2900ドルで、2850ドルの現物金を買うと(現物価格は少し上がる)、50ドルの利益が出ます。これが「裁定取引」です。裁定取引は、価格差を発見したコンピュータが、自動的に行います。

高い方を売って、同時に、安い方を買って清算する裁定取引(アービトラージ)は、両方の市場の価格が一致するまで続きます。これが、プログラム化されているのです。

金市場の金ETF、株式市場の株ETFは、同じメカニズムです。

◎価格差が生まれて、裁定取引の機会があると、金融機関にとってはリスクがゼロの利益になります。このようにしてペーパー・ゴールドの金ETFと、現物市場の金価格が、微差(手数料分の差)で一致します。

金ペッグにしたドル暗号通貨は、金のドル建てETFと、同じ性格のものです。金ペッグの暗号通貨と、市場が異なる現物の金価格が不一致のときは、瞬間にコンピュータで自動化された裁定取引が、両者の価格が一致するまで入って、金ペッグの暗号通貨と現物の金価格は短時間で一致します。

多少極端にした金の事例では、1オンスあたり価格差50ドル(1.7%)が、瞬間で得られる利益になるので、銀行と機関投資家は、鵜の目鷹の目で価格差を探し、裁定取引を入れる瞬間競争をしています。

〔超高速取引〕証券取引所までの高速通信回線を、他より近い場所に敷くのは100万分の1秒を争う裁定取引の競争が、行われているからです。100万分の1秒では、通信は300m進みます(1秒に30万Km=光の速度)。

「金本位制」はコンピュータと高速回線のない古代から真空管時代(1960年代)までのものです。現代では、金ペッグの暗号通貨(電子通貨=デジタルの暗号通貨)にすれば、金在庫を置く金本位の必要は、事実上はないのです。

SPDR社の株価は、金価格に類似した動きをしています。なおSPDR社の株価と、発行している金ETFの価格は別のものです。金鉱山会社の株価と、金価格の関係に似ています。
https://finance.yahoo.co.jp/quote/1557.T?term=2y

SPDR社(スパイダーゴールド社:金ETF 871トン分(時価12兆円)を発行)が代表の金ETFの発行会社には、金ETFの総発行量の金在庫はありません。現物の金価格と、金ETFの価格が一致することを約束しているだけです。金に換えることを、現受け現引きといいますが、発行した金ETF全部の金を現引きする金は、金庫に入っていません。

資産の安定(心理的信用)のため、金ペッグの暗号通貨を発行する機関は、発行総額の10%くらいを準備金の在庫にするでしょう。準備金は、金ETFや金先物証券であっても同じ資産効果を持ちます。

金ペッグの暗号通貨は、法ではなく金の価格信用がバックです。FRBや日銀ではない民間の機関、たとえば三菱UFJや、ゴールドマン、JPモルガン、HSBC、中国工商銀行、ロシア中央銀行、スイス銀行など、どこでも発行ができます。

【(5)金ペッグの暗号通貨(仮称をGPX)】
現在、金の1オンス(31.1グラム)の市場価格は、2900ドルくらいです。
この価格をベースにすると、以下のようになります。

(1)金ペッグの暗号通貨(仮称GPX)1単位の価値を、1オンスの金価格にペッグする。GPXの1単位のレートは、2900ドルになります。

(2)貿易用通貨または海外送金用にGPXを買うときは、企業と個人は、2900ドルを拠出する。円では、2900ドル×現在のレート150円=43万5000円です。

(3)GPXの価値は、市場の金価格ともに変動する。

世界がもつ貿易用の外貨準備は、15兆ドル(2250兆円)です。
現在の1オンス2900ドル(1グラム1万5000円)として、金の量では51億オンス(16万トン)分です。

GPX(金ペッグ暗号通貨)の15兆ドル分は、16万トンの金価格に相当します。

現在の、世界の貿易通貨(外貨準備は15兆ドル)を、全部GPXに置き換えても、GPXの発行所の金準備は「16万トン×10%=1万6000トン」の金があれば信用に十分でしょう。

金ペッグ暗号通貨は、金本位通貨のように金との交換を約束するものでなく、価格の一致を、自由化された裁定取引によって図るものだからです。

世界の中央銀行の金保有は、約3万トンです。協力国が金を合同出資すれば、十分な量があります。

〔通貨レート=金価格=全部の通貨は同じ〕金ペッグ暗号通貨は、どこが発行しても価格は同じですから、BRICS通貨、米国通貨(GPX)、ジャパン通貨(JPX)、ユーロ通貨(YPX)の区分はなくなります。たとえば金ETFはどこが発行しても価格が同じであることと、同じです。

トランプは、「金ペッグのBRICS通貨の専有を許さない」と言ってます。実はその意味は、あまりない。

信用通貨のドル基軸では、貿易赤字のときの、発行額の多さのメリットはありました。物的資産の金価格に価値信用を置く「金ペッグ暗号通貨」では、メリットは、さしてない。ただし時計のブランド価値のような心理的な信用の差は出るでしょうが価格では同じです。

金ペッグの貿易通貨は、貿易をする双方の国が合意すれば、暗号通貨ですから、すぐに作って発行することができます。

貿易をする会社は、それぞれ自国の通貨で、BRICS通貨、米国通貨(GPX)、ジャパン通貨(JPX)、ユーロ通貨(YPX)のうち、好みに合ういずれかを買って、送金することになるからです。

貿易を行ったことのある会社は、普通はドルですが、貿易にあたってはお互いの合意で使う通貨を決めていますから、これが分かっているでしょう。世界では、ドルが60%ですが、日本の貿易では円も20%はあります。

金ペッグの貿易通貨のレートは、どの国のものでも金価格に一致するので(現在は1GPX=2900ドル)であり、世界中で同じです。

この点でも世界中で通貨価値が同じ、通貨バスケットのIMF(国際通貨基金)のSDRと同じです(現在196円)。ドルが主である貿易通貨での為替差益、為替差損という概念もなくなります。

【(6)金価格が上がったとき】
金ペッグの貿易通貨では、金を通貨にして貿易することと同じなので、金価格が上昇すれば、GPX(金ペッグ暗号通貨)の価値も上がります。金価格が下がると、GDXの価値も下がります。

各国の通貨(ドル、円、ユーロ、人民元)も、政府が金ペッグにすれば、GPXに連動します。金本位ではなくても、金ペッグで政府が金を大量にもつことがなく、金ペッグの通貨にすることができるのです。

効果は、石油危機のような、資源・エネルギーのコストプッシュのインフレがなくなることです。現在の国債(政府負債)という概念もなくなります。

現在の米国は36兆ドル(5400兆円)の、日本は1200兆円の国債を、「金ペッグの暗号通貨」では、どう返済するかが問題になります。貿易通貨は、IMFのバスケット通貨である「SDR(特別引き出し権:今196円:65兆円分を発行)」のように、切り換えは容易です。

各国は、自国通貨の金ペッグ暗号通貨については、思考実験を重ねないと実行できないでしょう。現在、世界の中央銀行はいろんな観点から、暗号通貨を検討中です。

ある国が、通貨を金ペッグにしたときの国債は、決済の期限日をたとえば5年後に決めた割引証券と同じものになっていくでしょうか。

割引証券は、5年後に限月に1万円を返済すると、政府が約束した証券を、(たとえば)8000円で売ることと同じです。利回りは(1.25の5分の1乗=1.046)→4.6%になります。(注)現在の国債は、額面に発行金利がつく利付き証券です。

■次号の有料版のテーマ:「2025年、26年、27年の金価格の予想」

次号の有料版は、金ペッグ暗号通貨のあとですから、金ペッグ暗号通貨を想定した上で、「2025年、26年、27年」の金価格を予想するという冒険を冒します。世界の株価は、短期調整とは言えない下落に向かっていますが、金価格は上がっているからです。

今日は、NYの金先物市場では、1オンスが大台の3000.3ドル。
2月末から3月10日までの若干の下落調整のあと、はじめて3000ドルを超えました。(ブルムバーグの金先物価格:5年を参照)
https://www.bloomberg.co.jp/quote/GC1:COM

たぶん、2年内には始まる「金ペッグの暗号通貨」の意味と内容は、お分かりになったでしょうか? 『仮想通貨:金融革命の未来透視図』を、7年前の2018年3月に書いていたので、すんなり了解できたのです。
(アマゾン→ https://x.gd/gDCtO


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