□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年5月6日第355-2号 ■ ============================================================== 北京APEC首脳会談に向けた安倍・習近平の戦いが始まった ============================================================== 超党派の日中友好議連が訪中し、団長の高村自民党副総裁が、安倍首相がAPECでの首脳会談を希望していると伝えたという。 これ以上ない高い立場の公的人物が、ここまで直裁にAPECでの首脳会談実現を中国に対して懇請する。 それに対し中国側はつれなく、日本側がその環境づくりをしなければならないと返答する。 そのやりとりが世界に発信され、内外の知るところとなった。 これほど稚拙な外交はない。それほど安倍首相は焦っているということだ。 訪中団が北京入りしたその日の5月4日に、李克強首相はアフリカ4国訪問に飛び立っている。 習近平主席への表敬ははじめから考えていないということだ。 事前の報道や識者の一部には、日本側は習近平主席が現れてくるのか、などというのがあったが的外れも甚だしい。 報道や識者の中には、今度の友好議連団訪中で日中首脳会談の実現に向けて一定の成果を果たしたと評価するものもあるが、これも的外れだ。さもなくば御用報道であり追従意見だ。 習近平主席はすでに腹を固めている。 安倍首相がその歴史認識を改め、中国が尖閣を軍事的に領有しようとしているなどと世界にふれ回ることをやめない限り、首脳会談は決して行わないと。 そしてそれは安倍首相にとっていずれも受け入れることのできない相談だ。 笑ってしまったのは高村団長が会談後の記者会見で、首脳会談実現に条件を付けることを認められないと述べたことだ。 これでは首脳会談をつぶしにいったようなものだ。 これを要するに、安倍首相である限りAPECでの首脳会談はあり得ない。 たとえAPECで立ち話会談や握手会談に中国が応じたとしても、そしてそれはホスト国中国の最低限の儀礼だからさすがにそれまでも拒否しないだろうが、そんな会談は意味がない。 安倍首相の頼みの綱はオバマ大統領の仲介だ。 しかしオバマ大統領は韓国のときのようには動かないだろう。 米国側としては、すでにこれまで安倍首相の意向は十分に伝えてきた。あとは安倍首相の判断だけだ、ということだろう。 しかも今度のAPECはホスト国中国との米中新型大国関係を示す絶好の場だ。 おまけにオバマ大統領の安倍首相に対する失望感、警戒感は今度の訪日で決定づけられた。 発売中の「選択」5月号に、在日米国大使館のナンバーツーである主席公使が8月に交代し、安倍政権にとって未知数のジェーソン・ハイランド氏が指名されるという記事が掲載されている。 飾りもののケネディ大使を動かすのはこの人物になる。 これを皮切りに、「米国大使館における知日派の大幅入れ替わり」があるのではないか、「これがオバマ大統領の安倍政権への警告ではないか」と、首相周辺や外務省関係者は警戒しているという。 安倍首相は根本的に戦略を考え直さない限り、11月の北京APECでは米中外交の外に置かれることになる。 習近平主席と首脳会談できるかどうかの問題ではないのである。 (了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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