□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年4月25日第339号 ■ ========================================================= 拉致被害者家族を対米外交に利用する安倍首相の姑息さ ======================================================== 今度のオバマ大統領の国賓訪日の日程の中で私が一番注目したのは、突然クローズアップされたオバマ大統領と拉致被害者家族との面談だ。 そしてそこに安倍首相がわざわざ同席したことだ。 これは何を意味するのか。 ズバリ、安倍首相が拉致被害者家族を利用して、みずから行おうとしている対北朝鮮融和外交についてオバマ大統領の了解を得るように感情に訴えようとしたということだ。 繰り返し私は書いて来た。 米国は日本が抜け駆けして北朝鮮との関係改善を進める事に強い警戒感を抱いている。 それはもちろん米国が北朝鮮の核・ミサイル放棄を最優先するからだが、それだけではない。 米国に先駆けて日本が北朝鮮と国交正常化を実現する事を許さないからだ。 しかし安倍首相は拉致問題の解決を重視している。 そのためには制裁一辺倒ではどうにもならない事に安倍首相も気づいた。 北朝鮮が拉致の再調査に応じる事と引き換えに制裁の一部緩和を決めた。 だから何としてでも米国の了解を取りつける必要がある。 ところが米国はいまだそれを許していない。 そこでオバマ訪日の機会に拉致家族に面会させてオバマ大統領の感情に訴えようとしたのだ。 これは姑息だ。 姑息な上に逆効果だ。 なぜか。 米国と一緒になって拉致問題を解決することは不可能だからだ。 拉致問題に関する交渉は、日朝国交正常化交渉と一体として行われ、拉致問題の解決は日本の対北朝鮮賠償問題の解決と同時に行われなければいけないからだ。 これは日本が独自に北朝鮮と進めるべき一大外交であり、日本にはそのような外交を進める主権がある。 安倍首相はその自覚と覚悟を持つべきだ。 そして自らオバマ大統領を説得してオバマ大統領の了解を得るべきだ。 それがない限り日本と北朝鮮との関係改善は進まず、従ってまた拉致問題の解決も進まない。 こんな安倍首相に利用され、拉致問題を米国の理解と協力を得て解決したいと拉致被害者家族たちが本気で考えているとすれば、残念ながら彼らもまた拉致家族を取り戻すことは出来ないだろう(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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