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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

日米共同声明を先取りした読売の大スクープの衝撃
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2014年4月23日第333号 ■     =========================================================     日米共同声明を先取りした読売の大スクープの衝撃          ========================================================  オバマ大統領の国賓訪日を目前にして、きょう4月23日の読売新聞が大スクープを掲載した。  それは訪日を前にして行われたオバマ大統領に対する独占書面インタビューの全文掲載である。  そこには今度の日米首脳会談で取り上げられると思われる日米間の主要問題のすべてに関するオバマ大統領の考えが述べられている。  もしオバマ大統領が読売新聞に語ったことと違った事を安倍首相に語るとすればオバマ大統領も読売新聞も日本国民を裏切ることになる。  だからきょうの読売新聞に述べられているオバマ大統領の考えがそのまま安倍首相に伝えられると考えるほかはない。  だからこれは大スクープだ。  そこで述べられているオバマ大統領の考えは一言でいえばこうだ。  すなわち安倍首相が一番こだわる尖閣問題に関する米国の日本防衛義務について、明確に次のように述べている。  「・・米国の政策は明確であり、尖閣諸島は日本の施政下にあり、それゆえに、日米安全保障条約第5条の適用範囲にある。そして我々は、これらの島々の日本の施政を阻害するいかなる一方的な試みにも反対する・・・」  これは一見すれば米国の日本支持の表明のように見える。  安倍首相もメディアも、これを大きく取り上げて日米同盟強化の証だとはしゃぐだろう。  しかし、これはすでに米国が従来から繰り返し表明してきたことだ。  重要な事は、米国が尖閣は日本の領土であることを明確に表明し、その日本の領土を中国が武力もしくは武力の威嚇で変更しようとした場合、米国は日米安保に基づいて日本の為にこれを阻止すると明言するかどうかである。  それを安倍首相がオバマ大統領に迫ることができるか、である。  オバマ大統領がそれを明言してはじめて在日米軍の抑止力の効果が発揮される。  中国が腰を抜かし、日本を攻撃できなくなる。  日米安保条約の意義が認められる。  しかしオバマ大統領は決してそれに応じないだろう。  その一方でオバマ大統領はそのインタビューの中で、日本に対し、集団的自衛権の行使容認を歓迎し、普天間移設を求め、TPP合意の重要性を説き、北朝鮮の核を認めない方針を伝え、それらに対する日本の協力を迫っている。  これを要するに安倍首相は日米同盟強化という空疎な言葉と引き換えに、すべての面で米国の外交・安保政策に従う事を認めるということだ。  日本経済や日本国民の暮らしも、日朝国交正常化も、沖縄住民の基地反対の声も、すべて犠牲にさせられるということである。  それだけの犠牲を押しつけられる以上、安倍首相はオバマ大統領に明確に迫るべきだ。  今度の共同声明では、米国は尖閣問題で有事になれば日米安保条約を発動して日本を中国の攻撃から守るとはっきりと明記されなければいけないと。  それが明記されなければ日中共同声明は出す意味はないと。  もし米国が明記に応じれば自分の政治生命をかけて米国の要求に従うが、米国がそれに応じないなら米国の不当な要求にこれ以上譲歩できないと。  安倍首相はこの機会に米国に本気で日米同盟強化をする気があるのかと国民の前で迫るのだ。  オバマ大統領は驚き、進退窮まるだろう。  日本に対する理不尽な要求ができなくなる。  これが同盟国の首脳会談というものだ。  残念ながら安倍首相にはそんな度量も覚悟もないだろう。  かくして今度のオバマ大統領は日米同盟強化という「おまじない」を手にする代わりにあらゆる譲歩をさせられて終わる。  米国に譲歩させられて終わるのは、これまでのどの政権も同じだ。  しかし、戦後レジームを変えると大見得を切る安倍首相の譲歩ほど屈辱的な事はない。  それにしても安倍首相との日米首脳会談の直前に読売新聞にこのような書面単独インタビューに応じるオバマ大統領は、頭から安倍首相を馬鹿にしているということだ。  安倍首相の応援団長であるナベツネの読売新聞が安倍首相に恥をかかせたことになる。  きょうの読売新聞のオバマ大統領単独書面インタビューは歴史に残る衝撃的な大スクープである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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