□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年3月4日第210号 ■ ========================================================= 対ロシア非難共同声明づくりでロシア擁護に回った日本 ========================================================= さすがに誰が見てもそう思うのだろう。 ウクライナ情勢に関する日本政府の立場について、きょう3月4日の各紙はそれぞれ次のような見出しを掲げて書いている。 「首相、対ロで苦境 領土解決期待 欧米と温度差」(東京) 「日本 領土交渉抱え批判抑制」(朝日) 「政府、米に同調 経済制裁視野」(読売) 「日本複雑 良好な首脳関係配慮」(産経) 「日露蜜月に冷や水 領土進展見通せず」(毎日) そんな報道の中で私が注目したのは、米国が主導して作成されたG7の対ロ非難声明づくり舞台裏で見せた日本の動きを報じた日経新聞の次のような記事だ。 「・・・声明をまとめる過程で日本はロシアへの刺激を和らげるよう働きかけた。自制を促す対象がロシアだけでなく『全ての当事者』となった部分は日本の主張の反映という・・・」 これは政府筋(官邸筋または外務省筋)が意図的に流して書かせた記事だ。 その事を知って喜ぶのはロシアのプーチンしかいない。 これはプーチンのロシアに伝わるよう発信された安倍政権のメッセージなのである。 欧米の足並みを乱してまで頑張ったという事を伝えたいのだ。 そこまでしてプーチンのロシアとの関係を繋ぎ止めなければいけないのか。 そこまでしてプーチンのロシアとの関係を重視したのなら、なぜメディアを使って間接的に伝えるのではなく、安倍首相みずからがプーチン大統領に電話してそれを売り込まないのか。 そう思っていたら中国の王毅外相は早速ロシアのラブロフ外相と電話協議している。 その模様をラブロフ外相は中国がロシアの立場に理解を示してくれたといわんばかりに発表している。 その一方で中国外務省は、一言もロシアの立場を支持したなどとは発表していない。 「一貫して内政不干渉の原則を堅持し、ウクライナの独立と主権、領土保全を尊重する」などと当たり前の事を繰り返している(3月4日日経)。 ロシアに言っている事と、国際世論に向けた発表ぶりとの見事な使い分けだ。 対ロシア外交においても日本は中国に負けている(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)