■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月11日第178号 ■ ============================================================== 私の夢を託すことのできる信頼できる真のジャーナリストたち(続) ============================================================== きのう10日のメルマガ第175号で堀潤NHKアナウンサーさんの自主映画上映の事を書いたところ、さっそく米国在住の読者の一人から次のような情報提供が寄せられた。 インターネットを通じた情報拡散の迅速性と軌道性をあらためて認識させられた。インターネット政党が実現したあかつきには皆の協力であたらしいメディアをつくる事ができる。それを私は目指す。 以下引用 2月28日、UCLA でNHK 堀潤記者製作の「METAMORPHOSIS(変身)」の上映会がありました。福島第一原発、サンタスサーナ原子炉実験場、スリーマイルアイランド原発、いずれも苛酷なメルトダウン事故という原子炉災害を起こした場所を取材したドキュメント映画です。 とりわけサンタスサーナは私の住むサンファナンドバレーとシミバレーの境目にある身近な場所です。そこでの54年前の事故について私が知ったのは去年のことでした。この事故は一般にはほとんど知られず、がん、白血病など放射線被曝が原因と思われる疾患にかかった地元住民とその周辺の人々がひっそりと原因究明の努力を続けてきただけだったのです。映画では、50余年経った後の去年、EPA(米国環境保護庁)によって開催された住民公聴会でのやりとりが延々と映し出されるわけですが、日本はもちろん、米国の大マスコミの報道でも決して見られない住民が被害を訴える発言場面の映像でした。そしてEPA は結局、現在なお空間線量の高いことは認めて、除染も約束するのですが、50余年以前の原子炉メルトダウンと個々の疾病の間の因果関係は明らかではないと切り捨てていくのです。こうして生みだされたヒバクシャ達を作者はカフカ『変身』(朝起きると巨大な甲虫に変身していた男を主人公とする寓意的な小説)の主人公ザムザに喩えて題名にもつけられたようです。「私たちは忘れ去ることによって、私たちの『平安』を得ようとしているのか?」と作者は問いかけています。 1979年にレベル5とされる苛酷事故を起こしたスリーマイルアイランド周辺においても、その当時の汚染地図と被害状況が語られる他方で、事故当時は生まれていなかった若い人たちやその後に移ってきた住民たちの「全然気にしていない」と語る場面が写されていきます。 福島においては、これまでNHK を含む大メディアによる報道ではほとんど流されなかったことが、しかしインターネット世界ではとっくに明らかにされてきたことが映像と共にたたみ掛けるように明らかにされていきます。 「再稼動反対!」で大盛り上がりの国会・首相官邸周辺のデモ。しかしそれに反発する「極左による危険デマの垂れ流し!」との看板を掲げるグループの画面もしっかりと挿入されています。再稼動を図られた大飯原発ゲート前での攻防場面も写しだされます。また爆発直後に放出された放射性廃棄物を大量に含む大気の流れを、作者の友人数人で当時の風向きを入れてシュミレートして(SPEEDIに匹敵する作業)汚染地図がつくられ、写しだされるなかで、そうした情報の一切が住民には知らされなかったことが「国、県からの情報は一切無かった。汚染の高いところ高いところへと逃げて行った。」との地元被災者の痛切な訴えの中で明らかにされます。 事後的に公開された東電内におけるビデオ映像を精査する中では驚くべきことが明らかにされています。ベント前後の状況が映し出される中で、ベントによって放出される莫大なレベルの放射能量の数値を公的に発表することが”政府の管轄事項”として止められた事実。この事実はいまだに明らかにされていない事実ではないでしょうか。「大変です。大変です。3号機が爆発しました。現場の人は退避。」との吉田所長の切迫した指示の場面も音声としてはほとんど流されては来なかったと思います。 当時官邸に詰めていた某審議官へのインタビューで明らかにされた、「20キロの避難地域と30キロの屋内待機地域」がどのように線引きされたのかの内幕の暴露も驚愕の事実でした。被災地への救援物資、あるいはボランティアの入域に支障をきたす”東北自動車道の封鎖”をめぐるものだったこと。東北自動車道の封鎖にならない20キロ地点までを強制避難地域にしたわけです。避難指示の根拠は健康被害を引き起こす放射能汚染の度合いを基準にしたものではなく、まったく政治的判断に基づくものだったのです。これは現在の損害賠償や補償をめぐる”線引き”にも引き継がれている問題です。さらに避難指示を出したにしても(事実として国・東電から地元への避難指示はほとんど出されていない)、避難ルートにおける車両渋滞の現実。”原発安全神話”にあぐらをかいて、過酷事故時の避難がまったく考えられていないこと。いまだに考えられていない中で原発の再稼動が図られているのが現実です。 事故収束作業に当たる作業員の現実もなかなか公にはされない映像です。被曝を余儀なくされる収束作業にたずさわるにもかかわらず、じつに簡易な放射線教育。18、19歳の若者を含めてかき集めた作業員は、1ヶ月もすれば放射線被曝限度に達して御用済みになる現実。おそらく被曝手帳に基づく管理などは無いに等しい現実が伺えるのです。しかし収束作業は、国・東電の予測で40年。次の、次の世代にまで続くのです。 製作者の堀さんが主宰する”8Bit News"に投稿された映像なども使用して、「ネタにならない」映像、公には流されることのほとんど無い映像を重ねることによって浮かび上がらせた、国策としての原発推進政策の破綻と国というシステムのあらわな姿。そしていまや忘れ去られようとしている被災者住民。忘れ去りつつある、忘れ去っていいのか、被災者はザムザなのかと底流で静かに訴えている映画でした。機会を作りぜひ多くの方にご覧になっていただきたい映画 引用終わり ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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