■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月11日第177号 ■ ============================================================== 安倍首相訪米の本当の狙い安倍タカ派の封じ込めだった ============================================================== 私の手元に1月5日付の新聞記事の切抜きがある。 それは1月4日に菅義偉官房長官が従軍慰安婦問題に関する村山談話を見直すことについて次のように述べたという記事だ。 「(村山談話を)引き継ぐと同時に、安倍内閣として21世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したい」と語ったという記事だ。 この菅官房長の発言は「慰安婦問題はなかった」として村山談話を否定するそれまでの安倍首相の姿勢が内外の批判を浴びたことによる軌道修正である。 しかし、もはやこの時約束した「未来志向の談話」の発表さえ立ち消えになるのではないか。 その理由を書くのがこのメルマガの目的である。 2月22日から始まった安倍首相の訪米と日米首脳会談の目的は一体何だったのか。 それは米国と日本ではもちろん思惑が異なる。 それでは少なくとも安倍政権の狙いは何だったのか。 その事を選択3月号に特集されている「安倍訪米の『隠された狙い』が見事に教えてくれている。 その記事によれば安倍首相のタカ派を警戒する米国に対し、それを封じ込めますと釈明することが今度の訪米の最大の目的であったというのだ。 だからこそ安倍首相は米国滞在中、オバマ大統領との会談でも、講演でも、中国との関係をこれ以上日本のほうからは悪化させないという釈明で終始したのだ。 それにもまして安倍首相が封じ込めなければならなかったのがその歴史認識であり、その中でも従軍慰安婦問題を否定する持論である。 いうまでもなく安倍第一次内閣が一年で失脚した最大の理由はこの従軍慰安婦問題についての強硬姿勢に対する米国の警戒であった。 そして安倍首相は性懲りも無くそれを繰り返した。 自民党総裁選を闘うために、あるいは自民党総裁になって野田民主党政権と政権を争うために、そのタカ派ぶりを強調する限りなら、まだよかったかもしれない。 しかし安倍首相は日本の総理になった後も就任早々それを繰り返した。 そして第二次内閣の閣僚を愛国・保守で固めた。 米国はそれを警戒し、安倍首相はたちどころにそれを封じ込めなければ第一次政権と同様に危ういと察知させられた。 早急に米国の許しを請う必要があった。 タカ派色の軌道修正を約束するための訪米であり、日米首脳会談であったというのが一言で言えばその選択の記事の趣旨である。 なるほど、そういわれればすべてが合点が行く。 なぜ国民の大半が不安に思うTPPの交渉参加をここまで急ぐのか。 なぜ首脳会談の中身が公表されないのか。 なぜ報じられる日米合意がすべて米国に迎合するものばかりなのか。 そして稲田朋美、新藤義孝、下村博文大臣らがそろって静かになり、その存在感が見えなくなったのか。 今度の訪米は米国による安倍政権承認のセレモニーであったということだ。 もはや安倍政権は完全に米国の掌の中にある(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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