■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年3月11日第176号 ■ ============================================================== 日本より米国の防衛を優先する日米同盟の正体を示す動かぬ証拠 ============================================================== 私は2月28日のメルマガ第147号で書いた。 今度の安倍首相の訪米についてはまるでTPPばかりが最大のテーマであったかのように日本のメディアは報じているが、安倍首相の訪米で一体何が話し合われ、何が合意されたの、その全体像についてメディアの報道を見るだけでは何も分からない、と書いた。 そして2月28日の毎日新聞「木語」という論評コラムで金子秀敏専門編集委員が書いていた事を引用して、安倍首相の言うとおり「日米同盟の絆を取り戻した」のか、それとも中国が言うように「日本はつめたくあしらわれた」のか、どちらが本当かについて、要旨次のように書いた。 同盟関係の復活を評価するには安保問題でどのような話し合いが行われたかをみなければならない。唯一安保問題で報じられたのは普天間の辺野古移転を急ぐことと、Xバンドレーダーの京都・丹後半島への配備だけだ。ところがこの丹後半島へのXバンドレーダー配備は北朝鮮の弾道ミサイル追迎撃を目的とするものだという。これまでの米国の発表ではXバンドレーダーの日本への配備は中国に対するミサイル迎撃包囲網のためであったのになぜ変わったのか。もしオバマ政権が対中包囲網という従来の政策を修正したとしたら、それは中国にサインを出した事になる。つまり尖閣問題で日米の絆が深まったというのは嘘で、むしろ米国は中国を刺激しないように配慮したことになる。今度の訪米で「日米同盟の絆を取り戻した」というのは嘘で、中国の言うように「日本は冷遇された」ということになる、と。 ところがそのXバンドレーダーの配備について選択3月号が更に驚くべ記事を掲載した。 その要旨は次のようなものだ。 「2月22日の日米首脳会談に先立ち、Xバンドレーダーが京丹後の航空自衛隊基地に追加配備されることが日米両政府間で密かに基本合意された・・・実は日本側は、北朝鮮に地理的に近い対馬列島や佐賀県への配備を望んでいたが、米側は能登半島や丹後半島に固執した。これは米国がグアムやハワイの防衛を優先したためだ。すなわち北朝鮮からミサイルが発射された場合、米国にとっては能登半島や丹後半島周辺にレーダーがあったほうが都合がいい。日本が主張した九州方面では『日本の防衛に役立っても米領土は守れない』(米国防総省関係者)というのだ・・・」 驚いた。これが日米同盟の正体である。 すなわち日本は日本を守るよりも米国を守る事を優先して自衛隊の装備を整え、そのために国民の血税を使っているということだ。 最後に残る疑問は、このXバンドレーダー配備先の変更について、日本が米国の圧力に屈してそれに応じたのか、それとも積極的にその米国の要求に応じたのかという点である。 選択のその記事は次のような言葉で締めくくっている。 「安倍政権は集団的自衛権を容認する事を模索している。今回の配備は、米国を狙うミサイルの迎撃態勢を整備する集団的自衛権行使に向けた実質的な一歩である」 この選択の記事が正しければ、日本は米国を守るために積極的に応じたということだ。 安倍首相の言う日米同盟強化とは、日本を守るのではなく米国の安保政策に日本が協力することにほかならない。 その事の動かぬ証拠がここにあるということである(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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