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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

朋友櫻井よしこ氏の期待に背いた安倍首相の訪米
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2013年2月24日第139号 ■   ==============================================================   朋友櫻井よしこ氏の期待に背いた安倍首相の訪米  ==============================================================  きょう(2月24日)の朝刊各紙は「TPP交渉参加」という大きな見出しを一斉に掲げ今度の日米首脳会談の成果を強調している。  すでに報じられた結末であるにも関わらず時差の関係で一日遅れで書きたてる新聞は、もやはインターネットのスピードにはついていけない証拠だが、それでも新聞の意義はある。それは資料としての効用だ。  一日遅れで伝えられる今度の日米首脳会談の実態はその驚くべき対米従属性である。  ここまで米国に全面服従した首相訪米は日本の戦後の歴史の中でも始めてだろう。  そしてその従属性は今後さらにうんざりするほど明らかになっていくだろう。  しかしこのメルマガで取り上げたいのはその検証ではない。  安倍首相の訪米直前に書かれた朋友櫻井よしこ氏の注目すべき記事についてである。  それは「安倍首相は自主独立で臨め、対米外交」と題する週刊新潮2月28日号の連載コラム「日本ルネッサンス」の記事である。  その内容は一言で言えば安倍首相はこれ以上米国に頼りたいという姿を見せることなく自主、独立した外交を行なえというものである。  私が注目したのは次のようなその論拠だ。  すなわちオバマ第二期政権は日本軽視、中国重視の傾向を有する中道左派でありそのような米国と安倍首相の価値観は相容れない。基本的な価値観の違いを飲み干して良好な日米関係を保っていけるのか疑問だ、というのである。  そしてそのような無理を重ねる対米外交は容易ではない。外交・安全保障で積極果敢に自主独立の路線を押し進めなければ日本の立場は急速に米欧、米中の狭間に沈んでしまうと懸念するのである。  この記事は、その書き出しが「2月21日から訪米する安倍晋三首相の外交は容易ではない」という言葉で始まっていることから明らかなように、安倍首相の訪米前に書かれている。  今、こうして安倍首相の訪米が終わり、その結果は蓋を開けてみればこれ以上ないというほどの対米従属であることが分かった。  官僚主導のあらかじめ用意された猿芝居であったことは誰の目にも明らかだ。  これは安倍側近や官僚やメディアがどのように取り繕うと否定できない。  そしてそのツケはこれから津波のように押し寄せてくる。  櫻井よしこ氏はどういう思いえでこの訪米結果を眺めていることだろう。  小泉首相や野田首相であったならまだ持ちこたえられるかもしれない。何しろ対米従属を公言して憚らない米国のポチだったからだ。  しかし安倍首相は違う。  戦後レジームから脱却して自主・自立を取り戻すと国民に公約した首相である。  櫻井よしこ氏に象徴される愛国・保守の支持と期待を受けて登場した首相である。  そして中野剛志氏や関岡英之氏や城内実衆院議員に見られるように若手愛国・保守主義者たちは皆強烈なTPP反対論者である。それは当然だ。TPPは日本を米国資本に差し出すものだからだ。  稲田朋美、新藤義孝議員ら安倍首相の下に集まる同僚議員はアジア外交強硬派である。中国や韓国とこれ以上争うなというオバマ政権に押さえつけられることになる。  安倍首相は櫻井よしこ氏らに代表される自らの支持者の願いに背いて仰向けに寝転がって腹を見せて帰ってきたのだ。  安倍首相はこれからその矛盾に苦しめられる事になる。  アベノミックスで点数を稼いだと思った矢先に、安倍首相がもっとも存在感を示さなければならない外交・安保で安倍首相は行き詰まる。  今度こそ米国に骨抜きにされる。潰されることになる(了)。 ─────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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