□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年2月19日第127号 ■ ============================================================== 国会事故調査委員会の黒川清委員長の言葉 ============================================================== 2月18日の毎日新聞「そこが聞きたい」において福島原発事故の検証を行なった国会事故調査委員会の委員長をつとめた黒川清のインタニュー記事が掲載されていた。 国会事故調査委員会の調査にまでも東電が嘘をついていたことが明るみになったばかりだ。 だからこのインタビューもその事に対する黒川委員長の感想から始まった。 ウソが明らかになった時、委員の一人である田中三彦という人がカンカンになって怒っていた事がテレビで放映されていた事を思い出す。 なにしろ田中氏は東電から騙された本人だ。怒るのは当然である。 しかし田中氏があそこまで怒った本当の理由を私は黒川委員長のインタビュー記事を読んで分かった。 すなわち黒川委員長は次のように語っているのだ。 「・・・エンジニア出身の委員だった田中三彦氏は、自分で4号機の原子炉圧力容器を設計したこともあり、どうしても確かめたいことがあった。我々は『放射線量が高いぞ』と心配したが、田中氏は『自分の身は自分の責任でするから』と、東電に掛け合った・・・」 つまり田中委員は皆の忠告を押し切って、被曝を覚悟の上で中に入って調べようとしていたのだ。 そこまでの決断をしていたのに東電に断られた。しかもその時の「暗くて何も見えないから」という断りの理由が真っ赤なウソだったのだ。 これでは怒るのも無理はない。 私が黒川氏のインタビュー記事の中で最も注目したのは次のくだりである。 すなわち黒川氏は原発事故調査を通じて、この国の権力者たちのいかさま振りを次のように語っている。 「・・・原発政策には、政・官・財・メディアが一体となって同じ方向へ進む・・・責任ある立場の人が責任を果たさない、責任を取る覚悟ができていない・・・」 つまりタテ構造の社会の中で責任を取る立場の者たちが責任を取らない、取る覚悟がない、それが原発事故が人災だったゆえんであると言っているのだ。 この発言は衝撃的だ。 しかも政・官・財・メディアがグルになって権力犯罪を繰り返すといわんばかりだ。 この政・官・財・メディアが結託しているという批判の言葉は、私を含め反権力者たちがこの国の権力犯罪を糾弾する時に使う常套句だ。 我々がその言葉を使うのはわかる。 しかし国会事故調査委員会の委員長である黒川氏までもが、この言葉を使ってこの国の誤りを追及する。 今度の事故は政・官・財・メディアが一体となって引き起こし、そしてその誤りを隠蔽しようとした、と新聞紙上で断じているのだ。 私は繰り返し書いてきた。 権力犯罪を正すには、弱者や反権力の立場にある者たちがいくら声を張り上げても負け犬の遠吠えと一蹴される。 だから強者であり権力の内部に身を置くものたちがその気にならなければ権力犯罪をただすことはできないと。 国家事故調査委員会の委員長を政府から委託されるぐらいだから、た黒川氏は、その略歴、識見から見て間違いなく強者であり、権力の内側に身を置く人物だ。 その黒川氏が政・官・財・メディアの結託を認め、批判したのだ。 後は黒川氏が行動を取るかどうかである。 批判でとどまるのか、それともこの日本の権力犯罪を是正すべく行動を起こすのか。 この二つの間には気の遠くなるような距離がある(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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