□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年10月1日第732号 ■ ============================================================== 私が聞き語り昭和史の保阪正康氏を評価する理由がわかった ============================================================== 日米同盟の是非を考える時も、尖閣問題をめぐる日中対立を考える時も 歴史を知らなければ議論は不毛になる。 正しい史実の認識なくして正しい議論は成り立たない。 正しい史実の共有なくしては議論はかみ合わない。 しかし、正しい史実とは何か。 その究極的な問いに見事に答えてくれる記事をきょう10月1日の毎日 新聞に見つけた。 昭和の聞き語り歴史家である保阪正康氏の「昭和のかたち」という寄稿 文がそれである。 なぜ私が保阪正康氏を評価してきたのか、その理由をここに見つけた。 保阪氏は言う。 史実には二通りがある。中国で言う「正史(せいし)」と「稗史 (はいし)」だ、と。 「正史」とは、いわば権力者、支配者がつくりあげる権力構造の史実で ある。 それに対する「稗史」とは、庶民の生きた姿を記録していくいわば世相史 や生活史である、と。 そして保阪氏は、社会学者の加藤秀俊氏のことばを借りて次のように言う。 「固有名詞つきの人物ではなく、まったく無名の常民が主人公」の世相史 こそが「稗史」である。そして「正史」と「稗史」が補完し合うことによっ てそれぞれの時代が浮き彫りになるのだ、と。 加藤氏が喝破し、保阪氏が共鳴したこの歴史観こそ、なぜ私が保阪氏の書 く昭和史を高く評価するか、その理由なのだ。 さらに言えば保阪氏は付け加えている。 正史にはしばしば偽りがある、作為がある、と。 そしてそれは戦争史に関するものに顕著である、と。 同じことを表現した言葉に、誰の至言が知らないが、「戦争で真っ先に 犠牲になるのは真実である」という言葉がある。 そこでいう「戦争」とはひとつの象徴的な言葉だろう。 それは「権力争い」という言葉に置き換えてもいいだろう。 私が保阪氏が好きな理由は、正史と稗史のどちらが正しいか、などと 決して言わないところである。 それどころか正史を認め、稗史を正史の補完的なものと位置付けている ところだ。 稗史は時代とともに変化する正史を庶民の目で常に監視し、誤りを告発 していく役割であるととらえているところである。 これこそが私の言動の基本姿勢である。 「もう一つの政治」、「もう一つの日本」の本質がそこにある。 了 お知らせ 以下の通り天木直人VS田母神俊雄 特別討論会が開かれます。 尖閣問題が日本外交を揺さぶっているおりから単身で右翼論陣の中に乗り 込ん で自説を展開してきます。 10月6日(土) 午後1時半ー4時半(開演1時) 場所 文京区民センター3階(後楽園下車) 3-A会議室 問い合わせ 士気の会 千田(せんだ) 090-3450-1951 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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