□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年9月28日第722号 ■ ============================================================== 北方領土問題の専門家を気取る佐藤優氏の与太話 ============================================================== 前回のメルマガで私は北方領土問題についての日本外交のごまかしに ついて書いた。 なぜ私がいきなり北方領土問題の日本外交のごまかしについて書いた かといえばメディアがそのごまかしに加担しているからだ。 その典型が、メディアがやたらに佐藤優氏の北方領土問題についての 根拠なき楽観評論を掲載するからだ。 9月28日の東京新聞「本音のコラム」もその一つだ。 そのコラムで佐藤氏は次のように書いている。 9月25日ニューヨークの国連本部で玄葉外相はロシアのラブロフ 外相と会談した。そこで日ロ外務次官級協議(10月中旬)、玄葉外相・ シュワロフ第一副首相会談(11月下旬)、そして野田・プーチン首脳 会談(12月)が行なわれることが決まった、と。 そしてこれを合意した玄葉・ラブロフ外相会談は成功だった。これで 本格的な北方領土交渉が始まる、と書いている。 これだけでもいい加減な論評なのに、その後に彼はこう続けている。 10月の次官級協議の団長に任命された斉木昭隆外務審議官は今の 外務省幹部では交渉能力がもっとも高い外交官であり腹もすわっている。 欧州局長も消極派の小寺次郎氏から積極派の上月豊久氏に変わった。 斉木・上月ラインが動き始めればロシアも北方領土に本腰を入れる。 10月中に森喜朗元首相がモスクワを訪れ、プーチン大統領に野田首相 の親書を渡す事を斉木審議官、上月局長ならば真剣に考えているだろうと。 外務省の人事について何も知らない一般読者はこの論評を読んでも 何のことかわからないだろう。 これは佐藤優氏が自分を売り込むために世間と外務省に送るメッセージ なのだ。 すなわち世論に対しては北方領土問題の専門家は自分であり、その自分 を重用してくれた鈴木宗男なのだと言っているのだ。 そして外務省に対しては俺を敵に回すと怖いが俺の言う事を聞けば褒め てやると誘っているのだ。 佐藤は落ちた犬の外務官僚は叩くが将来性のある外務官僚には甘い。 斉木は次の事務次官候補のナンバーワンである。 佐藤優氏の言うとおり北方領土問題の話し合いはいずれ始まる。 それは日ロ双方の政府にとっての仕事であるからだ。 よほど険悪な間柄でない限り話し合いをしないということはあり得ない。 話し合いさえしないようであれば外務官僚の仕事はなくなり外務省は不要 ということになる。 しかし話し合うことと交渉が進展することは別だ。 北方領土が日本に帰ってくることはあり得ない。 たとえ鈴木・佐藤が進めようとした2島返還であってロシアは帰さない。 それを知っていながら楽観論を振りまく佐藤優氏の言説は世論と外務省に 向けた売名行為である。 それを垂れ流すメディアはあまりにも無責任である。 佐藤優氏の情報操作はイスラエルの代弁をするパレスチナ問題だけに してほしい。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新しいコメントを追加