□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年9月28日第723号 ■ ============================================================== 敗北した野田首相の国連演説 ============================================================== 竹島問題のときもそうであったがこの尖閣問題も野田首相が真っ先に 行なわなければならなかったのはその国の首脳との緊急協議だった。 領土問題はつまりところ二国間の政府と国民との間で解決しなければ ならない問題である。 ところがそれができなかった。しようとしなかった。 そうなれば次は国際社会に訴えて一人でも多くの味方をつくるしかない。 だから野田首相は国連に演説をしに行った。 それはそれでいいだろう。 しかし私は国連演説しか日本の立場を説明できなかった時点で野田首相 の尖閣外交は敗北したと思っている。 日本が演説すればすかさず中国も応酬する。 中国が日本を非難したら日本もまた応酬せざるをえない。 どちらが先に演説してもその一方の国は反論せざるを得ない。 それは不毛だ。問題の解決にはつながらないことは明らかだ。 それだけではない。もうひとつの重要な視点がある。 それは今度の国連総会は一般演説で尖閣問題を訴えるには効果的な場で はなかったということだ。 今度の国連総会のテーマは「法の支配」である。 それはあたかも尖閣領土問題についてぴったり当てはまるテーマの ように日本国民は受け止めるだろう。 しかし違う。 世界には「法の支配」が蹂躙されている状況が至るところに存在する。 その最大のものがイスラエルによるパレスチナ不法支配だ。 イスラエルの「法の支配」の蹂躙が原因でテロが起き、そのテロとの 戦いこそオバマ米大統領の最大の関心事だ。 テロを支援するイランの核問題とそのイランを「法の支配」を破って 先制攻撃しようとしているイスラエルの関係は世界を揺るがす関心事だ。 だから今度の国連総会でも、オバマ大統領もエジプトのモルシ大統領も イランのアハマディネジャド大統領も、その他多くの国がパレスチナ問題を 語っている。 要するに世界の関心事は中東問題であり、そちらのほうが尖閣問題よりはる かに緊急性があり危険性が高いのである。 今度の尖閣問題について首脳会談を通じて中国と二国間で解決しようせず、 結果的に国連演説で世界にアピールしなければならなかった時点で野田首相 の尖閣外交は敗北していたのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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