□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年9月23日第710号 ■ ============================================================== 外交でも中国に完敗している尖閣諸島をめぐる攻防 ============================================================== 憲法9条を誇る日本こそ国際紛争は外交力を発揮して解決しなければ ならないのに、日本はその外交力でも完敗している。 今度の尖閣諸島をめぐる日本と中国の外交力の差につくづく失望を禁 じざるを得ない。 その事をきょう9月23日の各紙の報道から見てみたい。 東京新聞が報じていた。中国外務省は22日発表したと言う。 楊 潔篪(よう けつち)外相が25日から始まる国連総会の演説の中 で、「目前の国際情勢、重大な国際、地区の問題への立場と主張を詳し く述べる」と。 もちろん尖閣領有問題だけではない。 シリア問題や南沙諸島をめぐる中国の軍事脅威に対する反論など、 多くの国際問題について語るに違いない。 しかし尖閣諸島の領有権についても「詳しく」自己の立場を主張する と言っているのだ。 すでにその布石として、国連に領海線拡張の文書を提出したり、中国 指導者を総動員して外国要人に対し尖閣が中国領であることを印象付け る外交を精力的に展開している。 ひるがえって日本はどうか。 きょう9月23日の読売新聞が一面トップでスクープ気取りで書いて いる。 日本政府は22日、中国外務省が大陸棚延伸の申請をしたことについ て異議を申し立てる方針を固めたと。 今頃になってこんな事を考えているのだ。 即座に応酬しなければならなかったのに、いまごろ方針を固めたと いうのだ。 こんな間の抜けた事が大手新聞の一面トップになるのだ。 その一方で野田首相が国連で尖閣問題について何を世界に語るのかに ついての報道が一切ない。 中国政府は堂々と外相演説の概要を公表して、耳を傾けてよく聞くが いい、と世界に予告通報しているのに、日本はおそらく未だ何をしゃべ ろうか外務官僚が無い知恵をしぼっているに違いない。 それよりも何よりも私が驚いたのはその読売新聞が外報面で報じていた 次の記事だ。 これがこのメルマガで私が指摘したいことだ。 「安保理改革 素案作成へ」という見出しのその記事は、国連常任理事 国入りを急ぐ日・独・インド・ブラジル4カ国の外相が、9月25日に ニューヨークで会合を開き、安保理改革の政府間交渉議長に対し、4カ 国案が反映されるように働きかけるという。 それを熱心に推し進めているのは日本であることはいうまでもない。 これは二つの意味でピンとはずれだ。 ただでさえ優先すべきは尖閣、竹島の領土外交であるというのに、中国、 韓国がともに反対している日本の安保理入りに奔走して中国、韓国を刺激 する。 それよりも何よりも今の日本はもはや安保理常任理事国入りの資格など まったくないと世界に思われていることに気づかないのか。 日本外交は救いがたいピンと外れを繰り返している。 了 ──────────────────────────────── お知らせ 1. 孫崎享著「戦後史の正体」(創元社)をもっとも正しく評価する 私が著者孫崎氏に独占インタビューをしてこの国の正体を徹底的に論じ合 いました。 その動画が以下の通り発売されましたので案内します。 孫崎享×天木直人 「戦後史の正体」出版記念特別対談 http://foomii.com/files/interview/amakixmagosaki2012/0907/ 2. 都合により休んでいた天木・植草対談を以下の通り9月29日(土) から再開します。 サタデーナイトライブ2012 天木×植草の時事対談 http://foomii.com/files/interview/nightlive2012/ 今回の時事対談では、政治・国際情勢・経済分野それぞれのホット ニュースについて時間の許す限り徹底的に討論を行います。 今回のライブ配信はUstreamで無料公開します。見逃した方には アーカイブ動画(有料(315円)が後日配信される予定です。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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