□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年9月23日第711号 ■ ============================================================== 「原発ゼロ」の迷走の裏にあった米国の内政干渉 ============================================================== 野田民主党政権が繰り返す「原発ゼロ政策」がとんだ混乱を招いている。 きのう9月22日の朝のTBS[みのもんたのサタデーずばッと]で、 同じ民主党の福山哲郎議員と川内博史議員が原発ゼロ政策の閣議決定が あったかなかったかで正反対の意見を主張して譲らなかった。 これに政治評論家の岩見隆夫氏が加わって閣議決定があったかどうかの 論争がさらに加熱した。 つまり閣議決定をしたと主張する福山に対し、新聞はみな無かったと 報じているではないか、新聞は嘘を書いたと言うのかと岩見が詰め寄った のだ。 これには笑ってしまった。 正確に言えば閣議決定はあったのだ。 しかしそれが政府決定なのかどうかが不明なのだ。 新エネルギー政策が閣議で決まったかどうかは不明なのだ。 少なくとも原発ゼロについて閣議は明確に決定しなかった。 ことほど左様にこの国の政治は曖昧だ。 曖昧で、玉虫色で、先送りの政治には慣れている日本国民さえも、わけ が分からない。 だから世界がわからないのは当然だ。 その事をきょう9月23日の東京新聞が書いていた。 すなわちウィーンで21日まで開かれていたIAEA総会において 「30年代の原発稼動ゼロ」を打ち出した日本の新エネルギー戦略に対し、 「わかりにくい」という声が加盟国代表から相次いだという。 日本代表がいくら説明しても十分な理解を得られなかったという。 おまけに新エネルギー戦略を発表した直後の閣議決定で、それを見直す と言い出したことがさらに混迷させたという。 しかし、私が注目したのは、その同じ日の東京新聞がスクープ報道した 「米国が原発ゼロに反対した」というスクープ記事だ。 この事について書くのがこのメルマガの目的である。 すなわちその記事は政府内部の取材でわかったと次のように報じている。 野田首相は新エネルギー政策の決定が大詰めを迎えた9月はじめに、 大串博志内閣府政務官や長島昭久首相補佐官を米国に派遣して事前説明を 行なったという。 その時米国は、「閣議決定をして政策をしばり、(原発ゼロが)見直せ なくなる事を懸念する」と釘をさしたという。 思惑がはずれた日本政府は、それでも原発ゼロを完全に撤回してしまっ たら国民は政府が原発推進に突き進むと受け止めてしまうのでもたないと 言うが米国の懸念はおさまらない。 その板ばさみから生まれたのが閣議決定を先延ばししたり、その決定を 原発政策の決定ではなく文書の採択にしてみたり、原発ゼロの見直しに ついては柔軟性に対処するなどと言ってみたりしたのだ。 すなわち今回の原発ゼロの迷走に限っては、その裏に米国の強い内政 干渉があったというわけだ。 なるほど、これで合点が行った。 もう一つの日米密約が行なわれたというわけである。 見事な東京新聞のスクープ記事である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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