□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月18日第389号 ■ ============================================================== 限りなく存在感のない今年のサミット ============================================================== 私にはサミット(主要国首脳会議)にはノスタルジックな思い入れが ある。 1973年の石油危機から1975年の第一回サミット開催に至るまで の一連の外交は駆け出しの私にとってはじめて経験する外交の大舞台 だった。 それは岡本行夫氏にとっても同じに違いない。 サミットを担当する同じ部局にあって、ともに夜を徹して初めての サミットの成功に向けて働いたものだ。 最初のサミットは6カ国で始まった。 米英仏独伊についで6番目のオリジナルメンバーに加えてもらった時の 日本の高揚ぶりは、そのまま我々外務官僚たちの高揚でもあった。 それから40年近くたち、サミット不要論は年を追って語られるように なった。 そして今年のサミットだ。 野田首相がきょうサミットに出席するために訪米するという記事が一段 の小さな見出しで報じられていた。 そういえばサミットは米国時間できょう18日から開かれるのだ。 これほど注目されないサミットがかつてあっただろうか。 日本の存在感がないからではない。 サミット参加国のすべてが、もはやサミットどころではないのである。 いや、サミット参加国が世界を動かす時代はとっくに終わっているのだ。 その事をいみじくもプーチン大統領の補佐官が明言してくれた。 ホスト国である米国がプーチン大統領の欠席を発表したのは5月9日で あった。 その理由として米国が発表したのはプーチン新政権が組閣に専念すると いうものであった(5月11日産経)がプーチン批判をした米国に反発 したとか、欧州に配備した対露ミサイル包囲に反発したとか、米露対立が 原因だという推測記事もあった(5月11日朝日、日経)。 その後、今度はオバマ大統領がロシアで9月に開かれるAPEC首脳 会議に大統領選挙を理由に欠席することを発表。 これを報じる5月16日の日経には、お互いの都合を理解しあった 「話し合い」による相互欠席だった、などという見方も流された。 ところがきょう5月18日の読売新聞がモスクワ発として次のように 報じた。 すなわちロシアのシェルパ(個人代表)を務めるドボルコビッチ大統領 補佐官が17日モスクワでの記者会見で、「(中国やインドなどの) 新興国が参加するG-20が発するシグナルはG-8より強い」と述べた、 と。 おそらくこれが本音だろう。 来年欠席を言い出すのは米国かそれともフランスか。 いずれにしても次に欠席する国が現れたときはサミットが文字通り 終わる時かもしれない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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