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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

ODAで武器供与を援助してよいのか
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月17日第384号 ■   ==============================================================   ODAで武器供与を援助してよいのか  ==============================================================  もちろんよくない。  しかしそれが大手を振って行なわれようとしている。  そのことについて国会でまともな議論がなされることはない。  そのことについて書いてみる。  誰も問題にしなかったが野田首相の訪米に間に合わせるように4月末 にあわてて発表された「在日米軍の再編見直し」の中間報告。  そのなかにODA(政府開発援助)の「戦略的活用」という言葉が あった。  そのことについて5月16日の朝日新聞が「ニュースがわからん!」 というコラムで取り上げていた。  中間報告が発表された時に、その事を正面から問う事無く、今頃に なって、しかも「ニュースがわからん!」などという柔らかいコラムで さりげなく書いているところがミソである。  自衛隊と米軍がアジア太平洋地域で協力を強めていく一環として日本が ODAを使って巡視船をフィリピンなどに供与することが検討されている がこれでいいのか、という質問を朝日はまずみずから問いかける。  そしてその質問に朝日はこう答えている。  貿易管理令では巡視船は「武器」と位置づけられている。だからODA で巡視船を供与するということは武器を供与するという事である、と。  そして2003年に決めた「新ODA大綱」では軍事目的の援助を禁じ ている、と。  ここまで教えてくれたということは朝日もこれは明らかにこれまでの 方針に従えば許されないことだと自覚しているのだ。  それにも関わらず朝日ははっきりとそれを約束違反だと言わない。  止めろと書かない。  政府には慎重にあってほしいと言うにとどめている。  そして私がこのメルマガで言いたい事は以下のことである。  たとえ朝日新聞がそれは認められないことだから止めろと言っても政府に 止めさせることはできないのだ。  なぜか。  ODA大綱という名の援助の方針は法律ではなく政府決定であるからだ。  かつて経済援助法という法律をつくってわが国の援助政策を官僚の手から 国民の手に取り戻そうとする動きがあったが外務省の抵抗で援助法は官僚の 手で潰された。  それ以来援助法をつくろうという話は一切起こらず、援助の方針は官僚の 判断でどうとでも変えられることが放置された。  私がODAを担当していた70年代から80年代の初めのころにはODA はその国の経済開発や福祉向上に役立つためのものであって決して安全保障 や財政支援に使われてはいけないという大方針があった。  いつの間にかなし崩しにそれが変更され、ついに武器供与まで公然と行な えるようになったということだ。  もう一つの米軍再編見直しについてはどうか。  小泉首相の当時に合意された米軍再編については、財政負担に関しては まがりなりにもそれが条約化された。  ところが今度の米軍再編の見直しについては玄葉外相がいみじくもこれは 実質的な条約変更だと認めているのに、それを新しい条約にして国民の了承 を得る動きはない。  これを要するにODAによる武器供与も米軍再編見直しについても、官僚が そう決めれば誰も止められないのだ。  国民の財産と安全に関する事項はすべからく国会審議を経てうえで法律化、 条約化されなければならない。これが民主主義の大原則である。  しかし何を法律にするか、条約にするか、あるいはしないかの判断は、 すべて官僚に委ねられている。  政治家はみずから法律や条約をつくる能力もやる気もない。  その傾向が民主党政権になってほとんど絶望的に加速されていったという ことだ。  民主党政権の罪は限りなく大きい。                              了                                  おしらせ  【天木×植草リアルタイム時事対談】第5弾について以下の通り 配信が決まりました。 ■天木×植草リアルタイム時事対談 http://foomii.com/files/interview/nightlive2012/ ●出演:天木直人(元外交官)、植草一秀(政治経済学者) ●配信日時:2012年5月26日(土曜日)       19時00分~20時30分放送予定  今回のテーマはズバリ、小沢裁判の無罪判決とその後の控訴の持つ意味。 そして小沢氏の復権はあるのか。あるとすればその最善のシナリオは 何かをに二人が自らの持つ情報と、その考えについて思う存分に語ります。  その他にも最近の国内、国際情勢について時間の許す限り語ります。  有料メールマガジン読者様は、リアルタイム時事対談の生放送配信動画を 無料で視聴いただけます。  アーカイブ動画配信につきましては、後日、動画配信記事として有料で 販売する予定です。  ぜひこの機会に有料メールマガジンに登録の上生放送配信動画をご視聴 ください。    ◎天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実を リアルタイム解説     http://foomii.com/00001 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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