□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年2月22日第151号 ■ ========================================================= 野田民主党政権に秘密保全法を成立させてはならない ======================================================== 秘密保全法という情報統制法が国会に提出されようとしている。 この法案がいかにとんでもないものか。 知る人は知っている。それに反対する者たちの声が徐々に目立つ ようになった。 しかし、果たして国民のどれほど多くの者がこの法案の危険性を 実感しているだろうかと思う。 国民の関心が低ければ、ひょっとしてこの法案は成立してしまう のではないかと危惧する。 この法案のどこが問題か。 たとえばいま話題になっている「運命の人」で描かれた機密漏洩 事件だ。 もはやあのように政府の内部情報を告発しようものなら厳罰に処せ られる。それがたとえ国民の知る権利のためと言ってもだ。 「国の安全」とか「外交」とか「秩序の維持」とか、そのような 「国の存立に重要」な「特別秘密」情報を規制するという仰々しい 言葉を並べ、それなら規制も仕方がない、と国民にそう思わせる。 規制が許される国家機密情報とは何か。その判断はすべて行政 (官僚)に委ねられる。だから何でも規制できる。 そして罰則を重くする。最悪の場合は懲役10年に及ぶという。 これでは内部告発はできなくなる。 しかし、この法律の深刻性はそのような内部告発封じにとどまら ない。 新聞記者の取材さえも不可能にさせることにある。 2月21日の東京新聞「メディア観望」において土田修記者が 次のように書いていた。 「『刑事さん、あの事件、容疑者が浮かんでるみたいだね。教え てよ』。筆者は愛知県警、石川県警、警視庁、警察庁と『サツ回り』 を長年経験した。連日、警察官と酒を飲み、信頼関係をつくるのに 努めてきた。捜査上の秘密を聞き出すのが目的だ。サツ回りは新聞 記者の基本といわれる。だがこうした取材活動が法律によって厳しく 罰せられる時代がくるかもしれない。(それが)野田政権が今国会 に提出しようとしている秘密保全法だ・・・」 土田記者はその記事の最後で、ウォーターゲート事件の追及を 規制しようとして刑法改正を試みたニクソン大統領を批判したワシン トン・ポスト紙の編集主幹ブラドリー氏の言葉を借りて野田首相に こう釘をさす。 「それは独裁政権のやることであって民主政治のやることではない」 秘密保全法などというものが国会ですんなり成立するようでは、 野田政権は独裁政権だということである。 メディアがそう言って立ち上がらないと秘密保全法は成立させ られる。 その危険性が国民の知らないところで目の前にある。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)