□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月10日第791号 ■ ============================================================= 高まるイランの核疑惑と最終戦争の悪夢 ============================================================= ここにきてにわかにイランの核疑惑が大問題となりつつある。 その理由は国際原子力機関(IAEA)が最近の報告書の中でイランの 核兵器開発の疑惑についてはじめて具体的な根拠を示したからだ。 その疑惑に対するイラン側の明確な回答がないかぎり米国は対イラン 追加政策を行うといい、欧州がこれに同調しようしている。 なによりもイスラエルがイランを攻撃する危険性が高まっている。 これまでにもイスラエルがイランを攻撃する可能性は折に触れて 伝えられてきた。 その現実性はひとえにイランの核兵器開発状況にかかっている。 核兵器の保有が確認されない限り、さすがのイスラエルもイラン 攻撃に踏み切るわけにはいかない。犠牲が大きいからだ。 しかし逆に言えばイランの核兵器保有が確認されれば、イスラエルは どんな犠牲を払ってもイランを攻撃する。 なぜならば核兵器を保有したイランの存在をイスラエルは認めない と決めているからだ。 そしてイランがその段階に行きつくのはまだ先だと言われ続けてきた。 そういわれ続けて数年たった。 はたして今のイランの核兵器開発状況がどの段階にあるのか。 それに答えたのが今度のIAEAの報告書である。 報道によれば起爆装置が開発された疑いがあるという。核弾頭搭載 可能な中距離ミサイルの開発疑惑があるという。 これはイスラエルにとっては深刻だ。なぜならばそれらが完成して からでは遅いのだ。そのまえに少なくとも破壊しなくてはならない。 もちろんイランはこれらをすべて否定している。 「IAEAは米国の手先だ。事務局長(日本の天野)は米国から受け取 った文書をそのまま垂れ流している」(アフマデネジャド大統領 11 月10日日経新聞)と非難している。 考えてみればこういう事態を予想しての天野事務局長へのすげ替えだ ったのかとさえ思えてくる。 果たして最悪の事態が起こりうるのか。 イスラエルの先制攻撃も、イランの報復攻撃も、そう簡単には起こ らない。 お互いにその結果の深刻性を知っているからだ。自制が働くからだ。 その危険が差し迫れば世界が放置しないからだ。 しかし、起こりえない事ではない。 米国も欧州も経済破たんが現実的になって来たからだ。 中東の民主革命が広がりイスラエルが孤立しつつあるからだ。 起こりえないことが起きる世界情勢になってきたからだ。 米国がイラク攻撃を行おうとしていた時、レバノンでは米国がイラク 攻撃に踏み切った後の最悪のシナリオはイスラエルのイラン攻撃に端 を発する最終戦争(ハルマゲドン)であると言われた。 もちろん誰も本気でそんな時が来るとは思っていなかった。 しかし、誰も想定しえなかった米国金融資本主義の破たんが世界的 規模で起き、誰も想定しなかった中東の民主化が起きようとしている。 シリアとサウジアラビアにまで民主化が及べば米国・イスラエルの 中東支配は終わる。 そう考えたとき、米国、イスラエルのイラン攻撃という起こりえない 事も起こるかもしれないのだ。 かつて米国がイラク攻撃をはじめた時、対米従属で名が通った外務省 事務次官、駐米大使経験者の外務省OBがこうメディアに語っていたこと があった。 イラク攻撃を認めたことまでは仕方がなかったが、もし米国がイラン を攻撃するような時がくれば日本はそこまではつきあいきれない、と。 私はそれを白々しい思いで聞いたことを覚えている。 この発言嘘だ。まさかそこまで情勢は悪化しないだろうと高をくくった 発言だ。 そのまさかが起きた時、その外務省OBは言うだろう。米国やイスラエル のイラン攻撃はやむを得ないと、日本は日米同盟を最優先してそれを支持 すべきだと。 とうとう中東情勢はそこまで行きつつあるということだ。 そして日本は、このままではさらに泥沼にはまっていくことになる。 だから対米自立が不可欠だと言っているのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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