□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月29日発行 第370号 ■ =============================================================== 風評被害の払拭相手は中国や韓国の首脳ではない、という正論 =============================================================== 少し前のことになるが、サミット直前に日中韓の首脳会談が日本 で行なわれ、菅首相は重要な外交問題をほとんど議論することなく 福島県に両首脳を連れて行って野菜を食べさせたことがあった。 これがパフォーマンスだと批判され、私もそう思ってきたが、これ ほど説得力のあるパフォーマンス批判はない。 そう納得させられる記事を5月28日の東京新聞「本音のコラム」 に見つけた。 ふるまいよしこと名乗る北京在住のフリーライターが次のように書 いていた。 中国では日本産の野菜やコメなど中国人はめったに口にしない。高級 スーパーで売られている日本産は、庶民が日々足を運ぶ一般スーパーで 売られている国産物の数倍の価格だ。トマトやキュウリに至っては安い 国産があふれている、と。 そう思って被災前の福島からどれだけの野菜や果物が中国に入って いるか調べたら、平成21年度統計で上海向けの梨850キロだけ。 トマトやキュウリを福島が中国に輸出した記録はなく、韓国に至って は輸出相手国として名前すら挙がっていなかった、と。 つまり被災前の福島県野菜や果物はほぼ国内で消費されていたわけで、 福島県産の野菜や果物が風評被害で売れないのは、日本国民の間の風評 被害のせいなのだ。 そして、彼女は言う。同じパフォーマンスでも相手が間違っている。 まさか国内の風評被害で売れなくなったものを中韓に売りつけようと したのではあるまい、と。 これは最大の皮肉だ。問題の所在を直視せず、お門違いの外国首脳相手 にパフォーマンスをする。そんな菅首相の浅薄さに対するこの上ない批判 である。 同じ菅首相のパフォーマンス批判でも、こういう批判の仕方には感心さ せられる。 了
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